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大型スーパーも高齢者に合わせて変化していく(買い物の意味を再確認する)

大型スーパーも高齢者に合わせて変化していく(買い物の意味を再確認する)

免許返納が増える中での大型スーパーの行方

大型スーパーの売上は、基本的に、駐車場の広さによって決まるとさえ言われます。それだけ、大型スーパーにとっては、車で乗り付ける顧客を大切にしてきた背景もあります。たとえば「まとめ買い」を喚起することによって、消費者にお得な商品も充実させてきました。

しかし、いよいよ75歳以上の後期高齢者の数が、65〜74歳の前期高齢者の数を上回りました。そして、痛ましい事故の多発を受けて、高齢者による免許の返納も進んでいます。これは大型スーパーに、過去のビジネスモデルの変更を迫るものであることは、容易に想像できます。

車でやってこない顧客をどうするのか、深刻な経営課題です。解決方法は3つしかありません。それらは(1)自宅まで売りに行く宅配や移動販売(2)公共交通との連携による大型スーパーの停車駅化(3)自宅と大型スーパーの間の高齢者送迎、です。

超高齢化社会における大型スーパーの戦略

先の3つのうち、まず(1)自宅まで売りに行く宅配や移動販売は、いまのところ利益が出ない状態です。無人の自動運転による移動商店が可能になるまでは、現状の移動販売の4割が赤字という構造を変えることは困難です。

また、この(1)の戦略は、高齢者の健康を害する可能性があることにも注意しないとなりません。免許の返納をした高齢者は、要介護状態になる危険性が8倍になるという報告もあります。自宅から出てこなくなることは、一般に信じられている以上にリスクの高いことなのです。そうなると、高齢者を大型スーパーまで移動させることの重要性が際立ってきます。

そこで次に(2)公共交通との連携による大型スーパーの停車駅化は、すぐにでも検討すべきですし、すでに実装されているところも多いでしょう。問題は、公共交通を利用する高齢者は、大型スーパーの存在意義でもある「まとめ買い」ができないことです。持ち帰れるだけしか買えなくなると、双方、損をしてしまいます。

最後の(3)自宅と大型スーパーの間の高齢者送迎が、いちばん大きなチャンスです。高齢者送迎のコストは、デイサービスを併設させることで、介護保険で賄える可能性があるからです。高齢者からしても、大型スーパーでの「まとめ買い」をしながらも、デイサービスで介護予防を受けたり、娯楽を楽しんだりできるので一石二鳥です。

イオンタウン君津のチャレンジ

この(3)の戦略を、イオンタウン君津が、この3月30日から開始するようです。全国展開をするイオンだけに、この問題への感度も高いということでしょう。以下、TImediaビジネスの記事(2018年3月19日)より、一部引用します。

毎朝8時15分には、デイサービスを提供する専門店内でスタッフと一緒にラジオ体操を行う。病院の処方箋を受け付ける「イオン薬局イオンスタイル君津」には、血圧計や血管年齢計を設置する。測定結果をもとに薬剤師などのスタッフが健康に関するアドバイスを行う。

各種健康セミナーも充実している。「いきいき! 健康講座」「今日からできる口腔ケア講座」「シニアライフ健康塾」「転びにくい身体をつくる体操教室」をイートインコーナーなどで実施する。

高齢者向けの特別な買い物カートを全国のイオンタウンで初めて導入する。名称は「楽々カート」。カートに体重を傾けながら歩く構造になっており、足腰の負担が軽減できる。買い物支援とリハビリを融合させたサービスを提供するという。(後略)

人間にとって買い物は、生きるために必要という以上の意味があります。買い物を通して季節を思い出し、産地への興味を沸きたてるきっかけというだけではありません。そうして欲しいものが手に入る喜びから、自分の人生を肯定する大事なイベントでもあるのです。この、イオンタウン君津のチャレンジを応援したいものですね。

※参考文献
・ITmediaビジネス, 『目指すは「高齢者のたまり場」 イオンの新店舗』, 2018年3月19日

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