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独居高齢者と若者のシェアハウスは成功するか?

独居高齢者と若者のシェアハウスは成功するか?

異世代シェアハウスという試みがある

高齢者と若者が異世代シェアハウスを形成するという試みは、ノルウェーやオランダでは、すでに始まっているものです。この試みでは、高齢者にも若者にも、双方にメリットがあることが大事な前提になります。

特に独居の高齢者にとっては、孤独が解消され、にぎやかになることのメリットは計り知れません(認知症のリスクも減ることがわかっています)。若者からしても、孤独の解消になるだけでなく、家賃の節約にもなるでしょう。

このヨーロッパではすでに始まっている試みが、日本でも徐々に広がってきているようです。以下、兵庫県西宮市における試みを取り上げている神戸新聞NEXTの記事(2017年11月24日)より、一部引用します。

1人暮らしの高齢者の自宅に若者が一時住み込む「短期異世代シェア居住」が、兵庫県西宮市で試験的に始まっている。NPO法人などが中心となり、独居高齢者の孤立化解消に加え、空き家問題の解決も目指す。26日まで女子大生が70代女性と1週間同居し、メリットや課題を探る。(中略)

実行委は12月、同地区の住民向け報告会で成果を披露する予定。同法人の田村幸大事務局長(31)は「将来的に空き家にお年寄りと若者が同居し、高齢者の社会参加と世代間交流の両方を実現できれば」と話す。

マッチングが鍵になるけれど・・・

この試みは、基本的にはポジティブな結果になることが(ほとんど)わかっています。しかし、必ず出てくる問題は、若者と暮らしたいと思っている高齢者と、高齢者と暮らしたいと思っている若者のマッチングです。

これは、単に、それぞれをリスト化すればよいというものではありません。まず、価値観や趣味が似ているといったことが大事です。それに、高齢者が暮らしている家の立地が、若者にとって魅力的である必要もあるでしょう。

さらに、チームというのは、ただ、そこに集まれば成立するものではないことは、多くの人が職場での経験を通して実感していることでしょう。マッチングが最適であったとしても、そこから、チームビルディングが必要になるのは、こうしたシェアハウスでも同じことです。

このチームビルディングの難易度は、職場におけるそれよりも、ずっと高いという認識も大事です。職場におけるチームビルディングは、仕事が終われば必要がなくなるものです。しかしシェアハウスにおけるチームビルディングは、プライベートまで含めてのものになるからです。

かといって、あきらめるのはもったいない可能性がある

このチームビルディングは、相当に難しいものです。実質的に、見ず知らずの2人が、ほとんど家族になっていくということと同義だからです。しかし、多くの人間関係がギスギスしつつある現代社会において、こうしたことが実現すれば、本当に素晴らしいことにもなるでしょう。

ここで、この試みのヒントになる本があります。『家族理解入門』(団士郎著, 中央法規)です。この本が教えてくれるのは、家族というのは、ただそこに集えば成立するものではないという事実です。嬉しいこともつらいことも含めて、適切な時間を重ねていくことが大事なのです。

ですから、このチームビルディングは、短期ではどうにもなりません。しかし、長期の時間があれば成立するものでもないのです。そこには明らかに効率の概念が存在しており「どうすれば、私たちは、見ず知らずの他人と家族になっていくことができるのか」という、非常に重要な問いへのチャレンジがあります。

日本が、この高齢化社会を幸福のうちに乗り越えることができるかどうかは、まさに、このチャレンジの成否にかかっていると言っても過言ではありません。今というときは、将来の日本人が(マッチングさえよければ)誰とでも理想的な家族のように親密になれるスキルを持つことになるかどうかの分岐点でもあるわけです。

※参考文献
・神戸新聞NEXT, 『78歳と21歳のシェア居住 西宮で1週間の実験』, 2017年11月24日

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