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介護コンビニ競争、セブンイレブンが1歩リードか?高齢者の見守りに参入

介護コンビニ競争、セブンイレブンが1歩リードか?高齢者の見守りに参入

コンビニが事業モデルの転換を急ぐわけ

コンビニ各社は、これまでの「店舗を高密度に広く展開する」という事業モデルからの脱却を急いでいます。その背景にあるのは、日本の高齢化です。高齢者は、現役世代よりも行動半径が狭く、買い物のための遠出もしなくなることが知られているからです。近くのコンビニまでも、来てくれなくなるということです。

コンビニは、今のままの事業モデルを維持していると、売り上げの多くをネットショップに持って行かれてしまうでしょう。なんとか、ネットショップにはない、生のつながりの付加価値を高め、コンビニとして新たな事業モデルを確立しないと、コンビニは事業を継続できなくなるかもしれません。

こうした中、ローソンがいち早く「介護ローソン」を打ち出し、現在も店舗数を増やそうとしています。しかし、この事業モデルは、既存のコンビニに介護関係の知識と商品を並べるという単純なものであり、競合からしてもコピーすることが容易です。

これに対してセブンイレブンは団地内への出店を計画に入れ、現在、その開発中という状態にあります。ただ、少なからぬ高齢者は団地ではない一戸建てやアパートに暮らしており、これだけではカバー範囲で問題が発生することが目に見えていました。

この空きスペースは移動販売で対応するという可能性もあります。しかし、移動販売の4割が赤字という現状を考えると、この事業モデルは継続できない可能性が高いでしょう。また、介護ローソンでも、団地内セブンイレブンでも、移動販売でも、人材の確保という難問をクリアしないとならず、本当にやれるか、大いに疑問です。

セブンイレブンが次の1手を打ってきた!

こうした中、セブンイレブンが次の1手を打ってきました。移動販売と見守りを組み合わせ、赤字になりがちな移動販売の収益を確保しようというのです。以下、静岡新聞の記事(2017年9月21日)より、一部引用します。

静岡県住宅公社は20日、コンビニ大手で移動販売や配食サービスを通じた高齢者など買い物弱者支援も展開しているセブン-イレブン・ジャパンと「県営住宅等の見守り活動に関する協定」を締結した。同公社が新聞・牛乳配達業者など24社と結ぶ提携に、コンビニ業界が加わるのは初。(中略)

同社は熱海市の県営七尾団地と沼津市の県営原団地の県内2カ所で、販売車両が週に3~4日、各棟を巡回する移動販売を実施している。協定締結により、日頃出入りする業者が住民の異変を察知した際に同公社に連絡するなどし、孤立死などの防止を図る。(後略)

今回の業務提携は、セブンイレブンとしては、既存の移動販売業者と組むことで、移動販売のノウハウを学ぶという位置づけなのでしょう。将来的には、十分な付加価値が認められれば、セブンイレブンは、こうした移動販売業者の買収に動くはずです。さもないと、同じチャネルを競合のコンビニにも使われてしまいますから。

この勝敗を決めるのは予算総額

こうした勝負を表面から見ていると、アイディアの勝負のように思えるかもしれません。しかし実際には、取り得る手段に関するアイディアというのは、企画に慣れた人材であれば、ほぼ全てを机上で書き出すことが可能です。

結局、勝負が別れるのは、そうして机上に並べられているアイディアを実行に移せるだけの実行力、すなわち予算のあるなしです。本気なら、大きな予算を積めるはずです。しかし、様子見というポジションでは、簡単に負けてしまいます。

移動販売と見守りを組み合わせるというのも、誰でも思いつけることです。しかし実際にそれを進めるとなると、かなりのお金がかかります。それだけのお金をつぎ込む決断ができるところが勝つというのは、資本主義社会では当たり前の話だったりもします。

消費者としては、セブンイレブンの一人勝ちよりも、多種多様なコンビニを選べるほうが嬉しいものです。既存店舗では、セブンイレブンの勝ちが確定しつつありますが、なんとか、介護コンビニ競争では、他のコンビニにも頑張ってもらいたいと考えています。

※参考文献
・静岡新聞, 『高齢者の見守りへ協定 静岡県住宅公社とセブン―イレブン』, 2017年9月21日

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