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ゴミ出し難民の対策は・・・本当にボランティアで大丈夫なのか?

ゴミ出し難民の対策は・・・本当にボランティアで大丈夫なのか?

高齢者のゴミ出し問題

高齢者にとって、ゴミ出しは大変な問題です。地域によってゴミ出しのルールは異なりますが、多くが、朝の早いうちに出すことを強制しています。そうした朝早い時間には、ヘルパーを雇えないことがほとんどなので、特に介護が必要な高齢者の自宅は、ゴミ屋敷化しやすい傾向にあります。

ゴミ屋敷化してしまうと、ゴミにつまづいて骨折し、介護状態が悪化する危険性も高くなります。そうなると、国の財源も痛みますので、これは放置しておけない問題なのです。まずは、以下、朝日新聞の記事(2017年9月19日)より、一部引用します(段落位置のみKAIGO LABにて修正)。

高齢化や核家族化が進み、自分でごみ出しができない人が増えつつある。こうした人たちをいかに支援するか。自治体の模索が続く。(中略)同市は2008年、自治会や地域の協議会などが、ごみ出しの困難な高齢者らのごみ出しを担う場合に支援金を支給する事業を始めた。

燃やすごみなどのごみ出し1日につき150円。185団体が登録し、約570世帯が支援を受ける。この事業のための市の今年度当初予算は約740万円だ。これに登録した山潟地区コミュニティ協議会では、山潟中の生徒から希望者を募り、通学路近くの高齢者とマッチング。市の支援金は学校の備品購入に充て、ごみ出し支援に参加した生徒には、3年生で支援を終えた際に感謝状と図書券500円分が贈られる。(中略)

千葉市や新潟市のように住民が自治体の補助などを受けて支援する方式は、少数派だ。今回、朝日新聞のアンケート取材でごみ出し支援をしていることがわかった48自治体のうち、41自治体では、自治体職員が自宅まで取りに行っている。(中略)

ごみ出し支援が判明した48自治体の中で最も早く、1996年度に支援を始めた大阪市。玄関先までごみを持ち出すのが難しい一戸建て住民には、家の中まで職員が収集に行き、集合住宅の場合は、自室前まで市職員が行く。06年度に3290世帯だった利用世帯数はしだいに増え、16年度は9573世帯へと約3倍になった。収集に従事する職員の数は41人という。(後略)

現状の課題について少しだけ詳しく考える

こうしたニュースの記事を読むと、自治体職員やボランティアの頑張りがポジティブに想像されるものです。しかし、このニュースで報告される現状は、かなりよくない状態です。自分が直接関与していないとなかなか気にもとめないことかもしれませんが、以下、もう少し詳しく考えてみます。

自治体職員が頑張る場合の問題

自治体職員が頑張るというのは、公共のために奉仕する公務員であれば、当たり前のことのように感じられるかもしれません。しかし、自治体職員は、世間的な基準からしても高給取りです。そうした人々が、ゴミ出しのように、給与に見合った付加価値につながらない労働に従事してしまうのはかなり問題です。他にももっと、自治体職員がやらなければならない仕事も多数あるはずだからです。大阪市では、このために41人もの自治体職員が駆り出されていると知ると、少しめまいがしてきます。それだけの人件費があるなら、そのお金を使って、普通に民間企業に業務委託すればよいのではないでしょうか。

ボランティアが頑張る場合の問題

ボランティアが頑張るというのは、そこに継続性があれば、理想的です。ただ、日本の近未来には、そもそもボランティアの数が確保できなくなっていくのは目に見えています。少子化と人口減少があるからです。継続性が危ない事業をボランティアでやってしまうと、大きな弊害が生まれます。それは、ボランティアがいなくなった後に参入する民間企業は(ほとんど)存在しないというものです。過去、ボランティアは、無償かそれに近い状態で仕事をしてくれたとします。そこに、ボランティアがいなくなったからということで、民間企業が有償で参入しようとすると、顧客から「高い」と文句を言われるのが普通なのです。

本当はどうあるべきなのか?

民間企業がやれることは、民間企業がやるべきでしょう。ゴミ出しを、実質的に無償にしてしまえば、高齢者は、本当はそれを自分で行うことができても、無償のサービスに頼ってしまうようにもなります。そうなると、体の虚弱化(フレイル)が進み、要介護状態にもなりやすくなってしまいます。

自分でゴミ出しをやれる高齢者は自分でやることが、まずは第一です。また、金銭的に余裕のある高齢者は、普通に民間のサービスを使うべきでしょう。金銭的に余裕のない高齢者の場合は、まずは生活保護を考え、それで支給されるお金から、こうしたサービスの支払いを行うべきだと思います。

そうしないと、ゴミ出しという生活の基盤のひとつを担うところに、民間企業が育たなくなってしまいます。「もう無理だから、誰かよろしく」となってからでは遅いのです。いかなるサービスを受けるのにも、お金がかかります。その前提を崩してしまえば、後からそれを取り戻すのはかなり困難なことなのです。

※参考文献
・朝日新聞, 『高齢者のごみ出し、誰が支える? 中学生が運ぶ地域も』, 2017年9月19日

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