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地域のスーパーがデイサービスに参入する?高齢者マーケティングとして

地域のスーパーがデイサービスに参入する?高齢者マーケティングとして

高齢者マーケティングが進化しつつある

日本は深刻な人口減少社会に突入しています。昨年2016年には日本から約33万人の人口が消失しました。今後は、こうして消失する人口は、毎年より大きくなっていきます。そして、こうした人口減少の影響は、企業の売上に大きな影響を与えていくことになります。

当たり前ですが、人口減少によって、顧客の数は減っていきます。そうなると、なにも対策をしない企業の収益が悪化するのは当然です。企業は、生き残りをかけて新たな競争を行うしかありません。そうした中、高齢者は、企業にとってより重要なマーケティングの対象になりつつあります。

とはいえ、過去にKAIGO LABでも考えたとおり、高齢者向けのフリーペーパーのような安易なものは、そうそう成功しません。企業としては、そうした過去の失敗に学びながら、徐々に高齢者のニーズをつかみつつあるようです。以下、NHK NEWS WEBの記事(2017年8月13日)より、一部引用します(改行位置のみKAIGO LABにて修正)。

スーパーやコンビニエンスストアの間で、高齢者の客の獲得競争が激しくなる中、スーパーの店舗内にマージャン店や健康相談コーナーなどを設け、高齢者の客を取り込もうという動きが出ています。

このうちスーパーのダイエーは今月3日、千葉県松戸市の店舗に主に高齢者をターゲットにしたマージャン店を初めてオープンしました。ここでは、賭けはもちろん、酒・たばこも禁止する一方で、弁当などは自由に飲食できるということで、長い時間滞在しながらスーパーでも買い物をしてもらうことが狙いです。(中略)

また、関東地方にスーパーを展開するカスミは、ことし4月から埼玉県越谷市の店舗で月に2回、管理栄養士による健康相談を始めました。血圧や体脂肪を測定するなどしたうえで、食生活の改善方法をアドバイスしていて、訪れた60代の女性客は紹介されたレシピをもとに店内で野菜を購入していました。(後略)

高齢者の行動半径は小さいというチャンス

まず、マーケティングとして基本的に知っておきたい事実としては、子供と高齢者の行動半径は小さいということです。子供と高齢者は、車を運転したり、電車に乗ったりして遠出をすることが、現役世代と比較すると少ないのです。これは普段、通勤などで遠くまで移動している現役世代には意外と思いつかないことです。

店舗の立地というと、通常は、駅前のデパートのような場所が良いとされます(それだけ駅前の地価は高い)。しかし、そもそも電車に乗ることが少なくなる高齢者の場合は、駅前のおしゃれなデパートではなくて、近所のスーパーへの依存度を高めていきます。

高齢者の目線からすれば、昔は懇意にしていた駅前のデパートに行かなくなって少し寂しいかもしれません。その代わり、地域のスーパーには新たな魅力を発見していきます。駅前の高い家賃による影響が少ないので、地域のスーパーは、駅前の家賃の高いデパートなどと比較して、安くて良いものも多いのです。

そうした地域のスーパーにとっては、地元の急速な高齢化は、ビジネスチャンスでもあります。地元に現役世代が多かった時代は、誰もが車や電車で遠出してしまい、地元にお金を落とすことが少なかったかもしれません。しかしこれからは、人口減少の時代にも関わらず、多くの地域の住民が顧客になっていくでしょう。

今回のニュースで取り上げられているのは、こうした高齢者を呼び込む手段として、店舗を、店舗以外の目的のために解放するというマーケティングです。店舗内でマージャンや健康相談ができるようにしておけば、ついつい、その店舗に通い、そのついでに、買い物もしてもらえるでしょう。

いずれはスーパーがデイサービスに参入するのでは?

この流れは、いずれ、高齢者の中でも要介護者に向かっていくものと考えられます。というのも、店舗内で高齢者が楽しめる環境を準備するのは、マーケティングのためとはいえ、費用も発生します。その費用をなんとかしようとするのが企業の経営だからです。

費用は、コスト削減という方向で圧縮することも可能です。しかし、コスト削減には限界もあります。であれば、発生する費用を売上として回収することができたら、直接的に利益になるので、より良いでしょう。その具体的な方法として、いつか必ず、デイサービスへの参入が検討されるはずです。

デイサービスとは、介護が必要になった高齢者が、日帰りで受ける介護サービスを提供する施設です。専門的には、通所介護とも呼ばれます。多くのデイサービスでは、送迎付きで食事や入浴のサービスが受けられるほか、孤独の予防になるレクリエーションも受けられます。

デイサービスを提供すると、要介護の度合いにもよりますが、1人あたり1日で8,000〜9,000円の売上になります。この9割(収入の高い人は7〜8割)は介護保険でまかなわれるので、本人の負担は800〜900円です。これがスーパーを経営する企業の売上になれば、その企業としては、かなり嬉しいはずです。

要介護者からすれば、デイサービスに通うついでに買い物も済ませることができたら、とても便利です。デイサービスの送迎もついているので、自分で運転をしたり、誰かに付き添ってもらう必要もありません。なによりも、そこで出会う高齢者は要介護者だけでなく、顔なじみの友達だったりすれば最高です。

介護においては、それまで続けてきた生活を、介護が必要になっても、できる限り続けていけることを理想とします。健康なときに通っていたスーパーのマージャンの場に、介護が必要になっても通い続けることができたら、それだけでもかなりの効果が得られるはずなのです。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『スーパーでマージャンや健康相談 高齢者の来店狙う』, 2017年8月13日

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