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高齢者の買い物に同行するボランティア活動?大きな期待と予測される困難について(ニュースを考える)

高齢者の買い物に同行するボランティア活動?大きな期待と予測される困難について(ニュースを考える)

全国に存在するボランティア活動

介護は、家族と要介護者だけでは、とてもこなせるものではありません。介護保険が適用される介護サービスだけでも、足りません。そこで頼りになるのが、ボランティア活動です。ご近所さんの手助けといったレベルから、認定NPO法人として組織的に運営されているものまで、こうしたボランティア活動には様々なものが存在しています。

日本の財政が危機的状況にある今、社会福祉における、こうしたボランティア活動はとても重要です。それがないと、社会が成立しない未来さえ見えています。ちょうど、こうした介護に関するボランティア活動のニュースがあるので、以下、神戸新聞NEXTの記事(2017年4月20日)より、一部引用します。

車が運転できない高齢者を送迎する「買い物同行サービス」が、兵庫県相生市矢野町で実施されている。住民ボランティアが自家用車で月3回運行し、1回当たり約10人が利用。運営する同町まちづくり推進委員会は「高齢化が進むと利用者も増えるはず。地域で助け合い、生活の足を守りたい」としている。

同町では全世帯の約4割が65歳以上の高齢者世帯。地域の各種団体代表者らでつくる同委員会は数年前から、住民が支え合って地域内を自由に行き来できる交通システムを協議。昨年10月、ボランティアが自家用車で自宅から店舗まで送迎する事業を始めた。

このボランティア活動の難しさについて

このニュースでは、ボランティアのサービスの利用者は、会費として年間1,000円とガソリン代(実費)を支払うことになっているようです。詳細は不明ですが、買い物に同行する部分や、運転の部分に関する人件費は無料ということでしょう。

これはこれで、すばらしい活動です。引きこもりがちになっている高齢者としても、わずかのお金を支払うことで、社会的な生活を営むことが可能になります。買い物に同行してくれるボランティアとのつながりもまた、高齢者を勇気付けるのは間違いありません。

同時に、こうした活動が、タクシー会社などの営業を圧迫することになるのは否めません。人件費が無料のサービスとは、とても競争にならないからです。そうなると、こうしたボランティアが活性化している地域からは、タクシー会社が撤退していくことになります。これは、このボランティアの対象とならない住民からすれば、不便です。

強調しておきたいのは、こうしたボランティア活動は、とても重要であり、この活動自体は、すばらしいものだということです。同時に、これが行き過ぎると、ボランティアの対象にはならない人々がこの地域を離れていき、過疎化が進んでしまうというところが難しいのです。これは、バランスの問題なのです。

社会的ニーズと民業とのバランスを考えた交通整理

こうしたことは、ボランティア活動の周辺では、必ず起こることです。ボランティアが活性化しているところでは、その分野における民業は成立しません。だからこそ、ボランティアが必要なのです。そして、こうしたボランティアが永遠に続くのであれば、なんの問題もありません。

ただ、ボランティアは人間の善意を前提としています。そして、人間の善意は、瞬発力はあっても、持続性には欠けるのです。もし、これが持続するのであれば、この社会の大部分が、ボランティアだけでも回っていくはずです。しかし、そうなっていないことを考えると、やはり、ボランティアは時限性の(期間が限られた)ものであることが推測されます。

ボランティアにも、生活があります。そのための資金が必要であることは、動かせない事実です。ボランティアは、そうした生活の一部を犠牲にしないと成立しません。そうした一方的な犠牲が、長期的に続くというのは、なかなか考えにくいことなのです。

ボランティア活動の重要性は、先に強調したとおりです。しかし、今後考えていかないとならないのは、ボランティア活動が活性化されるべき領域を特定し、そこで時限付きのボランティア活動を進めつつ、それを(混合介護のような)民業に発展させていくという流れではないでしょうか。

社会的ニーズを包括的に把握しながら、ボランティアに向いている領域と、民業への補助金によって対応すべき領域を分けていくことも大切です。こうした社会全体の設計を担うのは自治体なのですから、自治体の旗振りが最も重要ということになるでしょう。

※参考文献
・神戸新聞NEXT, 『相生で買い物同行サービス 高齢者を車で送迎』, 2017年4月20日

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