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エコマップの書き方について(介護マネジメントの鉄則)

エコマップとはなにか

エコマップ(ecomap)とは、要介護者を中心として、その周辺にある社会資源(家族、兄弟姉妹、友人、近隣住民、医師、各種介護関連機関など)との相関関係を、ネットワークとして表現した地図のことです。生態地図とも言われます。

スミス・カレッジ(マサチューセッツ州)のアン・ハートマン(Ann Hartman)教授が、1978年に発表した方法です。ハートマンは、1959年にオハイオ州のケースワーカーとしてのキャリアをスタートさせています。ソーシャルワークの修士号を取得した後は、ニューヨーク近郊で家族のメンタルヘルスに関する職につきました。

博士号取得後は、豊富な実務経験をベースに、ミシガン大学にてソーシャルワークの研究と教育を開始します。このミシガン大学時代に、ハートマンは、エコマップを紹介しています。その記念すべき論文はこちら(PDF:英語)です。ハートマンは、その後(1986年)スミス・カレッジに移っています。

エコマップが紹介された論文を読めば明らかですが、エコマップの目的は、複雑な家族の人間関係をアセスメント(評価)し、そこに課題や可能性、解消したい不和などを見出すことです。家族とその外部にいる人々や組織との関わりを「見える化」するためのツールとも言えます。

エコマップの書き方

エコマップの書き方には、複雑なものから簡易なものまで、色々なものがあります。しかし、そうしたものの全てを覚えたりるする必要はありません。とにかく大事なのは、要介護者との関係性を(1)強い関係(2)普通の関係(3)弱い関係(4)対立関係、という具合に分けて書くことです。

わかりやすさのために、線の太さを変えたり、色を変えたりして表現すると良いでしょう。ハートマンも、論文の中で「紙切れと鉛筆があれば十分」と言っています。難しいと思わずに、とにかく、以下の例を参考に、どこかの紙に書いてみましょう。

ecomap2

ケアマネとしては、要介護者のエコマップがあると、介護に関するアドバイスがしやすくなります。主たる介護者(要介護者の介護においてもっとも長い時間をかけている介護者)としても、有益なアドバイスが受けられれば、介護の負担が減らせます。

エコマップから何が言えるか

エコマップで注意したいのは、エコマップは、その作成ではなくて、作成した後が重要ということです。多少、へたくそなエコマップであっても問題ありません。大事なのは、作成したエコマップから「介護をよりよいものにするために、なにをすべきか」を考えることです。

上の例について考えてみると、たとえば、姉と父の関係は良くないので、姉に直接、父の介護をお願いするのは難しそうです。ただ、姉は父のご近所と強くつながっているので、姉に、父のご近所に対して「いざというときに、ご迷惑をおかけするかもしれない」ということを伝え、連絡先を交換しておくことは可能でしょう。

また、友達のAさんが満足して通っているデイサービスには、父にも行ってみてもらい、そこがよければ、父の人間関係は、もっと良くなるかもしれません。そこから、父はより元気になる可能性もあるでしょう。

この要介護者と介護者である自分は、医師・看護師との連携がイマイチです。ケアマネは、専門の医師や看護師(療法士)によるリハビリが受けられれば、父の要介護度合もっと下げられると考えるかもしれません。

エコマップがあることの現実的な利点

ケアマネが変更になることもありえます。新しいケアマネは、まずエコマップを把握することに時間を使います。そのとき、すでに最新のエコマップがあれば、ケアマネとしても、最善のケアプランを作成しやすくなるでしょう。

別に、完璧なエコマップを書く必要はありません。ケアマネとのコミュニケーションの中で、作成していくこともあるでしょう。作成にかかる時間も、せいぜい30分程度だと思います。とにかく一度、エコマップを作ってみて、ケアマネと話をしてみることをオススメします。

実は、このエコマップは、ビジネスにも応用できます。たとえば、顧客の決裁権者を中心として、決裁権者の決断に影響を与える人間関係の相関図として利用すると便利です。また、人事コンサルタントが、組織内の政治マップを書くことがありますが、それもエコマップそのものだったりします。

現実には、優秀なケアマネはもちろん、優秀なビジネスパーソンも、日々、脳内にエコマップを描いています。トラブルも可能性も、全てが人間関係の中から立ち上がってくるとするなら、このような形式で人間関係を把握するスキルは、生きて行く上で決して無駄にはならないでしょう。

※参考文献
・Hartman, A. (1978), “Diagrammatic assessment of family relationships”, Social Casework, 59(8), 465-476.

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