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家族で外に出よう。それが家族関係を強くさせるから。

家族で外に出よう。それが家族関係を強くさせるから。

家という安全地帯の功罪

家の中にいるときの私たちは、警戒を解き、無防備な状態になります。家族だけの中にいると、気もゆるみ、リラックスした状態になるでしょう。それはそれで、すばらしいことです。

同時に、そうした安全地帯にいると、家族が団結する必要性も薄れます。家という物理的なものが、安全を確保してくれるのですから、ほとんどの場合、お互いを守るような行動も必要ないからです。

ですから、ずっと家族で、家の中に閉じこもっていると、家族はお互いをあまり必要としなくなります。自分勝手に振る舞い、お互いの干渉を最低にすることで、さらなるリラックスを確保しようともします。

もちろん、要介護状態の家族がいれば、支援も必要です。ただ、それは介護者から要介護者への一方的な支援であって、家の中だと、その逆は少なくなります。

家族が結束するには、極端に言えば、共通の敵になるような対象が必要なのです。お互いのことを見つめ合うのではなく、お互いに共通するチャレンジに向かって共闘するとき、家族は団結するのです。

家族で外出するということ

家の外は、私たち人間にとって、本能的に危険を感じる場所です。道を走る自動車でさえ、危険なものとして認識されます。車椅子で電車に乗るのも大変なことです。周囲から、白い目で見られたりもします。

これは当然、ストレスにもなりますが、ストレスというのは、ただ低ければよいというものでもありません。適度なストレスは、元気に生きていくためにも重要なものです。

自動車も、周囲の目も、家族にとっては共通の敵です。そこでは「危ないから気をつけて」「気にすることないよ」といった、家族がお互いを気づかう場面が、自然と増えていきます。

大げさに思われるかもしれませんが、家族で外出するということは、家族という仲間が、お互いを助け合う冒険なのです。これは、安全地帯である家の中にはない、小さなチャレンジでもあります。

反抗期の子供とのコミュニケーション

反抗期の子供とのコミュニケーションを、家の中だけで良好なものにするのは困難です。しかし、そうした親子で外出し、見知らぬ土地にでも行けば、自然と親子の会話が生まれます。

逆に、反抗期の子供も、本能的にこれを悟っているためか、親と一緒に外出したがらないことも多いでしょう。外出すると、反抗している親と同盟を組まないとならないわけですから、恥ずかしいという気持ちが生じるからかもしれません。

職場の許可が得られるなら、子供を職場に連れていくといったことも、親子のきずなを強めることに役立ちます。子供からすれば、怖い存在である大人がたくさんいる職場では、親しか味方がいないと感じるからです。

このように、家の中では険悪な関係にある家族であっても、外出することで、その関係が改善される可能性があります。お互いの存在が、自分の戦力になるような環境があってこそ、私たちは、お互いの大切さを再確認することができるのです。

要介護者だからといって外出をあきらめない

要介護者の旅行を助けてくれるトラベル・ヘルパーの存在を引き合いに出すまでもなく、重度の要介護者であっても外出することは可能です。しかし、要介護者本人は、周囲に迷惑をかけると思い、また、無駄な恥をかくことを嫌い、外出を控えてしまうものです。

実際に、外出をして、後悔することもあります。それでもなお、一緒に外出をした集団の結束は、高まることが普通です。プロの介護職が、機会を見て、要介護者を外に連れ出そうとする背景には、こうした視点もあります。

私たち人間が団結するのは、本質的に、この社会が厳しい場所だからでもあります。だからこそ、時には、家族で一緒にその厳しさと向き合わないと、お互いの存在のありがたさに気づかないものなのです。

そろそろ冬になり、外はますます危険になります。インフルエンザもありますから、むやみに人混みのあるところへ行くべきではありません。免疫力が落ちている高齢者であれば、なおさらです。

しかし危険だからこそ、外出の価値が高まるという考え方もあります。繰り返しになりますが、どうしても、風邪などには注意が必要ですが、そのリスクをかけるだけの意味もまた、きっとあります。

やはり危険ですから、医師やケアマネへの相談は必要です。そうした相談をしながら、少しの散歩のように最低限でもいいので、外出のプランも、ぜひ検討してみてください。「風邪をひくといけない」という気づかいを表明する機会もまた、家族関係の再確認には、役に立つものだからです。

※参考文献
・永井 将史, 渡邉 仁, 『キャンプ経験が青年期の信頼感に及ぼす影響』, 国立オリンピック記念青少年総合センター研究紀要, 第7号, 2007年

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