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「ふれあい給食」という試みについて

「ふれあい給食」という試みについて

高齢者の外出が減ると危険

高齢者になると、加齢による衰えから、外出が苦になっていきます。これに対しては、足が悪くなったから外出が負担といった身体面での原因に注目が集まることが多いものです。

しかし、知らない人と新たな関係をつくるのが面倒だったり、物忘れで恥をかきたくないといった、精神面での原因のほうが、むしろ重要だったりします。実際に、多少、身体がつらくても、面白いと感じることがあれば、すすんで外出もするでしょう。

外出が減ると、心身の衰えは加速してしまい、要介護状態になったり、要介護状態が悪化したりもします。これを避けようと、日本全国の社会福祉協議会は、閉じこもり防止プログラムとして「ふれあい・いきいきサロン」を展開しています。

「ふれあい給食」とは?

無理に外出させるのではなく、究極的には、外出したくなるコンテンツが大事なのです。そのため「ふれあい・いきいきサロン」の中身は、全国でも良い意味でバラバラ、それぞれに特色があります。

そうした中で、高齢者が、幼児や小中学生との世代間交流としての会食をする「ふれあい給食」に注目が集まっています。事例研究も少しずつ積み上がってきており、今後の展開も面白いものになっていきそうです。

「ふれあい給食」の事例として、65歳以上の高齢者55名(男性10名、女性45名)が、短期大学(栄養士を要請する学校)に通う学生20名と会食をした結果が分析されています(加藤, 2016年)。

まず、この「ふれあい給食」が、普段の食事よりも楽しかったと回答した高齢者は、94.6%(とても楽しかった、楽しかった)と圧倒的でした。また、高齢者との会食が楽しかったと回答した学生は、90.0%(とても楽しかった、楽しかった)と、こちらも良好でした。

高齢者の自由回答の中に「みんなと食べることで食事が進んだ」という意見があったことは、大事です。高齢者になると、食欲が落ち、栄養補給が進まないことがあります。これが、みんなと食べることで、改善される可能性があるのです。

生きがいレベルのイベントである

たかが会食と考えると、間違えます。実は、高齢者は「友人や知人との食事や雑談をしている時が、生きがいを感じる」という報告は多数あるのです。この機会が多数あるような環境を整備することは、地域包括ケアにとっても、根幹となりえる活動なのです。

自分だけが食べるものを、自分で調理すると、最低限の味気ないものになるでしょう。これが、誰かを招待しての会食となると、そもそも、張り切って調理するようになります。逆に、誰かに調理してもらったものは、残さずに食べようともするでしょう。

食という毎日の活動の中に、高齢者を元気にするという設計思想を入れ込むことができれば、その効果は計り知れません。引きこもりがちな高齢者に、どうにかして外出してもらいたいと考えているなら「ふれあい給食」を検討してみる価値はあるでしょう。

※参考文献
・加藤 美穂, et al., 『ふれあい給食が世代間交流として 地域高齢者および短大生に与える効果』, 名古屋文理大学紀要 16, 19-26, 2016-03-31

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