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トイレと寝室は絶対に近いほうがいい。住み続けられる住宅を考える。

トイレと寝室は絶対に近いほうがいい

高齢者の持ち家率は8割という現状から

日本における高齢者の持ち家率は8割にもなります。それはそれで、豊かな社会ということではあるでしょう。しかし、いざ介護が必要となったとき、そこに住み続けられるのかは、持ち家率とは別の、非常に大きな問題です。

たとえば、介護施設への入居費用を出すために、持ち家を手放すという選択ができれば、それはそれでよいのかもしれません。しかし、その持ち家が、介護施設への入居に十分な価格で売れるとは限りません。また、夫婦のうち片方だけが介護施設に入居するようなことが選択できない場合、どうしても在宅介護を考えることにもなるでしょう。

そもそも、介護保険の財源の問題があって、介護施設への入居が必要ということになったとしても、その希望は叶いにくくなってきています。国も、在宅介護という方向性を明確に打ち出している今、誰もが、在宅介護について考えておく必要があります。

なにはなくても、トイレと寝室の距離は重要

実際に介護をしている人々に話を伺うと、ほとんどすべてのケースに共通するのは、トイレと寝室の距離に関する問題です。トイレと寝室の距離が遠いだけで、介護負担は劇的に高まってしまうからです。最悪なのは、寝室が2階でトイレが1階というように、階が異なるケースです。

高齢者が自宅に住み続けられる条件としては、なによりもまず、住まい自体が、高齢者によって使いやすいことが挙げられます。その中でも特に大事なのが、トイレと寝室が近くにあるということです。場合によっては、2階の使用をあきらめても、トイレと寝室はできるだけ近くにしておくことが大事です。

ほぼ毎晩のように、夜中に排泄介助をすることを前提としてみてください。その時、トイレが寝室の真横にあること(場合によってはトイレが寝室内にあること)は、大きな助けになるはずです。要介護者の状態によっては、トイレと寝室が近くにあれば、なんとか自力でもトイレまで移動できる可能性も高まります。

可能なら、介護が必要でないときから、寝室の場所を移動させる

トイレは、非常にプライベートな空間です。また、意外と水を流す音などもうるさいものです。こうしたことから、少なからぬ家の設計において、トイレと寝室の間には、それなりの距離が設けられています。

こうした配慮が、高齢者になると、逆に良くない方向に働くことにもなります。先に最悪のケースとして取り上げた、そもそもトイレと寝室の階が異なるような場合は、本当に苦しいことになってしまいます。夜中にトイレに向かおうとして、暗い中、階段ですべって転んで、要介護状態が悪化したという話もあります。

可能なら、介護が必要でないときから、室内のリフォームをして、トイレと寝室の距離を、できるだけ近くしておくことをおすすめします。リフォームにかけるお金がそれなりにあるのであれば、プロのアドバイスを受けながら、バリアフリー化も含めて、終の住処としての設計をお願いするとよいでしょう。

バリアフリー化に関しては、自治体の補助が受けられるケースもあるので、自治体の介護相談窓口にもかけあってみてください。介護が必要となり、要介護状態になってからの工事のほうが得になる可能性もあるため、ここの判断は慎重にする必要もあります。

※参考文献
・阪東 美智子, 『居住環境分野から:安心安全な高齢者の「住まい」の整備』, 保健医療科学 65(1), 36-46, 2016-02

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