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介護離職を決断してしまう前に、自問自答すべきこと

介護離職を決断する前に

ビジネスの世界には、理不尽なことがいっぱいある

誰もが、突発的に、今の仕事を辞めたくなることはあります。一生懸命頑張って成果を出したのに低い評価をもらったとき、自分の責任ではないことについて上司から叱責されたとき、自分よりも先に後輩が出世をして後輩の部下になったとき・・・。

ビジネスの世界では、不完全な人間が、不完全な人間を管理・評価するということが行われています。ですから、長く仕事をしていれば、理不尽なことも、たくさんあります。ということは「理不尽に耐えられる」ということは、ある意味で、社会人の条件みたいなものです(もちろん、理不尽の程度にもよります)。

当然ですが、そんな理不尽は少ないほうが良いに決まっています。しかし、そもそも職場というスケールを超えて、この社会全体を見たとき、もっと酷い理不尽が多数あります。筋が通っていて、なんの理不尽もない社会など、あと1,000年はやってこないでしょう。

介護離職を決断するとき、そこに理不尽への怒りがないか

普通の状態であれば、耐えられる理不尽というものは多くあります。別の部署のプロジェクトの失敗について、なぜか自分のせいにされたりするといったことは、ビジネス経験が長ければ「まあ、そういうこともあるよね」と流せたりもするかもしれません。

怖いのは、こうした理不尽なことが自分に降りかかっている最中に、介護が忙しくなることです。普通の状態であれば流せるような理不尽が、介護と重なることで「介護も忙しくなってきたし、理不尽なこともあるし、辞めようかな・・・」という気分になる可能性があります。

しかし、その理不尽が、普通の状態の自分であれば流せるようなものであれば、ここは我慢するところです。もちろん、介護がなくても許せないほどの仕打ちを受けたとするなら、それにて退職という決断もあり得ます。

離職した後、介護もひと段落したときに振り返って「あんなことくらいで退職したのは、もったいなかったな」と感じる可能性があるなら、そこは本当に踏みとどまるべきところです。

人間の感情は、長続きしない(時間とともに減衰する)

認知科学の成果として、人間の感情は、長続きしないことがわかっています。理不尽なことをされて腹を立てても、時間とともに、それに対する怒りの感情は薄れていきます。一時の怒りの感情に任せて、長く勤務してきた職場を離れるのは、よくないことです。

ビジネスの世界では、ジュニアのころから「問題の切り分け」について叩き込まれます。理不尽なことをされたという問題と、介護の問題もまた、切り分けて考えないとなりません。これらを混ぜて考えた上で、人生にとって大事な決断をしてしまうのは、得策とは言えません。

職場の理不尽が理由で退職するのであれば、当たり前ですが、できれば次の職場を決めてから退職(転職)しましょう。無職の時間を間に入れてしまうと、転職が不利になるからです。また、理不尽の元凶が上司である場合は、部署移動で済ませられないか検討しましょう。

介護を理由に退職するのであれば、統計的には(1)介護による身体的・経済的・精神的な負担はむしろ上がること(2)次の職場が見つかるまで1年以上かかる人が最多であること、という2点については覚悟する必要があります。

一時の感情に引きずられた決断がうまく行くことは少ない

何事も、大事なことを決めるときは、一時の感情に引きずられないことが大事です。特に、介護離職の場合は、冷静に考えて、その決断が正しいのかどうかを検討する必要があります。

介護離職をすると、一般には、大変なことになります(そうでない人もいますが)。収入が途絶えますから、介護サービスを受ければ負担が下がるようなことも、自分でやらなければならなかったりします。そうすると、自分の時間が減りますから、次の就職先を探すのにも苦労します。

世帯の維持には(資産家である場合を除いて)収入が必要です。介護を続けていく上で、毎月いくら必要なのかを試算して、その分は稼いでいかないとなりません。ここの収支計算を間違うと、生活保護しかなくなってしまいます。

本当に生活保護が必要なときは、ためらわずに申請すべきです。ですが、自分の心身が健康で、まだ能力的に働ける場合は、生活保護が受けられない可能性も高いのです。そうなると、介護をしながら、貯金が底をつき、就職活動もままならないまま、飢えるという可能性もあります。

介護離職の決断は、本当に危険な決断です。その危険性を理解した上での離職であれば、仕方がありません。しかし、少なくとも介護離職は、一時の感情に流されて決断してよいようなことではありません。冷静に考えるべきですし、信頼のおける人にも相談したほうがよいでしょう。

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