閉じる

現役世代は、労働力を再生産する必要がある(あたりまえすぎて忘れられること)

労働力の再生産

東京圏に勤務する平均的な現役世代は、毎日2時間程度しか、自分の自由になる休息の時間がありません。毎日の疲れを癒し、次の日もまた元気に仕事をするために(労働力の再生産をするために)は、この休息の時間が大切です。

しかし、現役世代に介護がのしかかると、この休息の時間が実質ゼロになり、さらに睡眠の質も低下します。これを放置すれば、現役世代の生産性が劣化し、日本が沈みます。解決のためには、残業を減らし、在宅勤務を進め、特に夜間の介護サービス強化が必要です。

日々の休息によって明日を頑張るための体力・気力を回復させる

労働者は、仕事をしている時間は、仕事を頑張っています。様々なストレスに耐え、本当は逃げ出したくても思いとどまり、日々を乗り越えています。人間は、人生の最も多くの時間を、この労働に使っています。

労働をしていないとき、私たちは「生理的生活時間」にあります。「生理的生活時間」とは、睡眠、休息、食事、身支度の主に4つの要素でできている概念です。

これらの時間を使って、労働者は、労働によって失われた体力や気力を回復させるのです。ここにしっかりとした回復があればこそ、次の日も、また次の日も、大変な仕事を乗り越えて行けるのです。

東京圏に暮らす日本人の平均の休息時間は2時間

総務省の「社会生活基本調査」によれば、日本人の平日における平均睡眠時間は7時間程度、食事は1.5時間程度、身支度(入浴、洗面、歯磨きなど)は1時間程度です。

さらに、東京圏の場合、日本人の平均の通勤時間は片道で約1時間(往復2時間)です。また、月平均の残業時間は47時間なので、土日祝日を除いた稼働日を20日とすれば、1日の残業は2.5時間程度と予想できます。1日あたり、10.5時間くらい仕事をしているということです。

ここから、休息に使っている時間が計算できます。24時間ー10.5時間(労働)ー7時間(睡眠)ー1.5時間(食事)ー1時間(身支度)ー2時間(往復通勤)=2時間です。平均的な、東京圏にいる日本人の場合は、毎日2時間しか、休息の時間がないのです。

労働のためだけに生きているわけではない

先の「生理的生活時間」は、あくまでも明日も頑張って働く(労働力の再生産)ために必要と考えられている時間です。しかし、私たち人間は、労働のためだけに生きているのではありません。

休息とよばれる、わずか2時間の間に、私たちは文化的な生活を営みます。正確には「社会的文化的生活時間」と呼ばれる概念です。家族や職場の仲間との団欒、趣味のスポーツ、地域貢献活動、各種ボランティアや宗教活動などもあるかもしれません。ときには、ただボーっとしたり、ソファーに腰掛けてテレビを見たり、本を読んだりすることも大事でしょう。

休息とはいうものの、むしろ私たちは、この時間を楽しみに、労働を耐えているという側面もあります。もちろん、労働には、ただ生活のための賃金を稼ぐ以上の意味があり、単純化はできません。とはいえ、休息のない人生がいいと考える人も少ないでしょう。

このギリギリのバランスに「介護」がのしかかる

ここは調査によってもバラツキが多きいのですが、在宅介護にかかる平均時間は、1日あたり1〜2時間といったあたりです。これだけで、休息の時間がほとんどなくなってしまいます。

さらに、在宅介護では、夜中の排泄対応などもあり、睡眠時間にもダメージが大きいことが知られています。そうなると、楽しみにしていた休息の時間がなくなるだけでなく、睡眠にも問題が出てきます。

結果として、明日をがんばるために、疲れを癒すという労働力の再生産ができなくなっていきます。今日よりも、明日のほうが疲れていて、職場でも集中力が出なかったり、簡単なミスを繰り返すようになってしまいます。

労働を終えても、楽しみにできることが介護によって奪われてしまっているため、明日を頑張るモチベーションもなくなってしまいます。なんのために、ギリギリの状態に耐えているのか、わからなくもなるでしょう。

日本の現役世代を応援するシステムができないと日本は沈む

日本の社会福祉の財源は、頑張って働いている現役世代から徴収される税金と社会保険料です。この現役世代が、毎日頑張っていくためには「生理的生活時間」を確保することが、どうしても必要なのです。

これに失敗すれば、日本の労働力は、日々疲れていき、生産性が落ちて、結果として徴収できる税金も社会保険料も減ってしまいます。そうなれば、医療も介護も成立しないのです。

社会全体で、仕事と介護を両立する現役世代の「生理的生活時間」を守る必要があります。具体的には(1)平均2.5時間の残業を減らす(2)平均2時間の通勤時間を在宅勤務化によって減らす(3)介護サービスによって特に夜間の対応を軽くする、という3点が急務であることが見えてきます。

まとめ

・日本の労働力を再生産するためには、毎日の休息が重要
・東京圏の休息は、平均的には2時間しかない
・ここに介護がのしかかると、休息が実質ゼロになる
・仕事と介護の両立には、社会全体での現役世代の応援が必要
・残業を減らし、在宅勤務を進め、夜間の介護サービス強化するべき

※参考文献
・The Huffington Post, 『通勤時間、理想35分→現実は平均58分 過半数が1時間以上かかる』, 2014年7月16日
・労働問題弁護士ナビ, 『残業時間の平均は47時間|残業代がつり合わない時の対処法』, 2015年9月11日
・内閣府, 『介護と保育に関する生活時間の分析結果』, 平成11年6月22日
 

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

PR