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東北電力、介護をする社員向けの在宅勤務を導入

東北電力、介護をする社員向けの在宅勤務を導入

仕事と介護の両立支援

今後、仕事と介護の両立に苦しむ労働者が激増していきます。この背景には(1)団塊の世代の多くが要介護者となりつつあり、その子供である団塊ジュニアも人数が多い(2)団塊ジュニアは兄弟姉妹が少なく、共働きも多いことで介護リソースが少ない(3)かつてない高齢化で、企業の対応も後手にまわっている、といったことがあります。

この大きな社会変化に対応できない企業は、淘汰されていきます。とにかく、大方の経営者の予想を超えて、この問題は大きくなっていくことが確実なのです。そして、そうした社会変化に敏感に反応する経営者と、そうでない経営者の格差が広がってきています。介護支援に力を入れる企業と、そうでない企業に分かれてきているのです。

KAIGO LABでも、花王のユニバーサルデザインな人事制度NECの週休3日制ヤフーの週休3日制ソフトバンクの遠距離介護支援名古屋技研工業の介護施設設置東京海上日動の介護相談窓口みずほファイナンシャルグループの介護離職ゼロプロジェクトなど、様々な事例を取り上げてきました。

そもそも、従業員の介護問題に対して、なんの対策もしていない企業は、まだ多数派ではありますが、確実に減ってきています。そして、企業ごとに異なる、独自性のある介護支援が生まれてきています。本当に深刻な課題なのですが、企業の中には、まだまだ認識が足りないところもあります。

東北電力の在宅勤務制度

そうした中、東北電力の在宅勤務制度がニュースになっています。ただ在宅勤務を広げるだけでなく、フレックスタイム制の導入範囲を大幅に広げるというところが、独自性になっています。以下、河北新報の記事(2018年10月17日)より、一部引用します。

東北電力は今月、未就学児の子育てや家族の介護をする社員向けに在宅勤務制度を導入した。週1回、月4回まで利用できる。電力小売りの競争が激化する中で、社員の働き方改革につなげるのが狙い。勤務時間帯を柔軟に選べるフレックスタイム制度の対象も拡大した。

東北電によると、在宅勤務制度の対象者は千数百人になる。フレックスタイム制度は始業時刻を午前7~10時、終業を午後3時半~8時の間で設定できる。従来は研究部門約100人が対象だったが、本店や支店など約4000人に広げるという。(後略)

在宅勤務の導入は、オフィスコストの低減にもつながるため、企業としては導入しやすい制度です。在宅勤務には、特別なチームビルディングの対応が求められるといったことも見えてきています。こうしたノウハウは、今後、仕組みとして定着していくはずなので、心強いです。

そして、今回の東北電力が決めたような、在宅勤務とフレックスタイム制の合わせ技は、非常に効果のあるものと思われます。究極的には、労働時間の上限を設けた上で、いつでもどこでも働ける職場への移行になっており、あるべき姿がきちんとイメージできている事例だと思われます。

価値観の転換には時間がかかる

こうして、仕事と介護の両立支援に先進的な企業が頑張っている一方で、これに遅れている企業も目立つようになってきました。もしかしたら「他の会社がいろいろと仕組みを作ってから、それを真似すればよい」と考えているのかもしれません。しかしそれは、通用しないということを述べておきたいです。

人事コンサルティングの世界には、人事制度について「設計3割、運用7割」という言葉があります。他社でうまくいった人事制度をコピーするだけでは、うまくいかないことを示す教訓として定着しています。結局、新しい人事制度が正しく運用されるためには、そこで働く人々の価値観の変化が求められるからです。

そして、こうした価値観の変化には時間がかかります。2025年には、介護離職がピークに向かっていく可能性があります。それまでに、自分たちの組織で働く従業員の皆が、仕事と介護の両立に対して、本音で共感することが求められます。

より具体的にいうなら、仕事と介護の両立に求められるのは「長時間労働と滅私奉公」が評価される価値観を捨て去ることです。これに変わるのは「労働時間に関係なく生産性を向上させる」という価値観です。これに遅れることが、いかに恐ろしい未来につながっているか想像できていない経営者は、株主にとっても大きなリスクになるでしょう。

※参考文献
・河北新報, 『<東北電>在宅勤務を導入 子育てや介護中の社員向け、フレックス制は対象者40倍に拡大』, 2018年10月17日

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