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花王の先進的な取り組みは、広く知られるべきだ!

花王の先進的な取り組みは、広く知られるべきだ!

介護研修では介護離職を防止できない

どこの企業でも、介護研修くらいは実施しています。もちろん、こうした研修も必要です。しかし介護は、それぞれに事情が異なり、一律の施策に効果は少ないことが様々なところで指摘されています。介護研修は、介護離職防止のための入り口にすぎず、企業は、より多くの具体的な対策が必要なのです。

花王は、経営学の世界では、多様で先進的な取り組みで有名な企業です。業績面でも、純利益が4期連続で最高を更新している優良企業です。そんな花王が、介護離職防止においても、非常に優れた施策を打ち出していることがニュースになりました。以下、日本経済新聞の記事(2018年9月2日)より、一部引用します。

朝7時から夜8時までの間で勤務時間を任意に選べる。1日に少なくとも3時間45分は働く必要があるが、必ず勤務しなければならない時間帯(コアタイム)はない。1カ月のなかで労働時間を柔軟に配分できる仕組みだ。花王は7月から、こうした新しいフレックスタイム制を始めた。(中略)

花王は08年、社員の親の年齢データなどをもとに、今後介護の責任を負うことになる社員の割合を試算した。08年の8.3%が18年には16.8%に倍増し、23年には18.5%と5人に1人になることが分かった。13年時点の推計では、28年に18.3%と高止まりすることも確認している。

介護に直面する社員は40~50代のベテランが中心で管理職も多い。仕事への意欲の低下や離職を招いては会社にとっても損失だ。両立支援は「企業の危機管理上も必要」と、働き方の多様化などにあたるD&I推進部の座間美都子部長。(後略)

人事部は本気になったほうがいい

あと少しすれば、介護離職は、日本の屋台骨を揺るがす事態にまで発展することになるでしょう。そのとき、花王のように介護離職を防止できている企業と、そうでない企業が明確な形で見えてきます。当然ですが、介護離職が問題になってから対策を打ち出しても遅いのです。

これは、現代の人事部にとって、実は最大の課題です。採用が困難になってきており、これからますます採用は厳しくなることを意識していない人事部は存在しないでしょう。この採用難は、人口減少社会に突入している日本の構造的な問題であり、個別になんとかなる話ではありません。

採用のテクニックを磨くということは、レッドオーシャンの中で勝ち残ろうとすることに似ています。それはコストがかかるわりに、実入りの少ない戦略です。どこかの時点で、どの企業も、採用から、既存の従業員の離職防止に舵をきるときがきます。それに、どれだけ早くから準備できるかが、企業の競争力を決めてしまうのです。

花王のような企業への転職者は増える

当たり前ですが、こうしたニュースは、今現在、仕事と介護の両立に苦しんでいるビジネスパーソンに刺さります。そうしたビジネスパーソンの中には、花王への転職を真剣に検討する人材もいるでしょう。そしてこうした人材は、今後増えていくのです。

介護離職防止に真剣ではない企業と、花王のような企業との間には、テクニックではなく、真の意味での採用力の差が生まれてきているということです。採用というと、アセスメントや面接といったテクニック論になりやすいのですが、その本質は、人材に働きたいと思われるような優良な企業を作り上げることです。

いまの現役世代は、自分の年金が支給される年齢が上がることを前提として人生を設計しないとなりません。定年延長はもちろん、生涯現役ということを織り込んでおかないと、大変なことになります。当然ですが、優秀な人材であればあるほど、こうしたことを意識しているでしょう。

いまはまだ介護をしていなくても、こうした優秀な人材は、自分が介護をする未来を想定することができます。そのとき、いまの職場にいられないのなら、いまのうちから、花王のような企業への転職も考えるはずです。介護離職は、まだ介護がはじまっていない人材もまた、選択する可能性があるということを、人事部は知らないとなりません。

※参考文献
・日本経済新聞, 『花王「介護支援は危機管理」 一律の対策は効果薄く』, 2018年9月2日

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