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進む在宅勤務、日本全体での定着は近いか?

進む在宅勤務、日本全体での定着は近いか?

仕事と介護の両立には在宅勤務が必要

仕事と介護の両立を実現するには、どうしても、在宅勤務が可能な職場環境が必要になってきます。在宅勤務とはいえ、自宅にいなければならないというわけではありません。現代の世界における在宅勤務とは、働く場所を問わない働き方をさした言葉です。

カフェで、移動中のバスの中で、病院の待合室で、現代であれば、スマホのような通信端末さえあれば、どこでも仕事ができます。IT環境の充実に伴い、こうした在宅勤務が本格化しつつあります。以下、産経WESTの記事(2018年8月4日)より、一部引用します。

滋賀県草津市は、在宅勤務(テレワーク)の運用を本格的に始めた。これまでの試験実施で、育児や介護を行う職員の負担軽減効果が確認できたといい「多様な働き方を実践していきたい」としている。県内市町で在宅勤務の導入は初めて。

在宅勤務の対象は小学生以下の子供を養育しているか、要介護者を介護している正職員約150人。在宅勤務の上限は週3日。所属長の同意を得て個人情報を閲覧できないパソコンが貸与され、自宅で資料作成などの事務作業などをする。(後略)

歴史的には失敗の連続だった在宅勤務

在宅勤務の検証は、アメリカにおけるテレワーク(リモートワーク)の事例研究として積み上がっています。広大な国土を持つアメリカの場合、自宅から職場までの移動が不可能というケースも多いのです。そうした状況で人材獲得競争が続いた結果、出社しなくても働ける環境は、他のどの国よりも求められてきました。

しかし、その事例は、ことごとく失敗と言ってよいものだったのです。チームワークが失われてしまうのです。そして結果としてわかったのは、チームビルディングには「生のコミュニケーション」が重要ということでした。では、現在の日本で進められている在宅勤務も、アメリカにおける検証の歴史と同じように失敗に終わるのでしょうか。

これがわからなくなってきています。というのは、ITの発展が、情報端末を通したコミュニケーションを「生のコミュニケーション」に近づけているからです。一昔前には考えられなかったような安定感で、安価なテレビ電話を使うことが可能です。これが今後はさらに発展していくわけですから、期待も高まります。

非公式なコミュニケーションが鍵を握っている

失敗しやすいのは、仕事上必要なときだけコミュニケーションをとるように設計された在宅勤務です。人間のつながりは、むしろ、仕事とは関係のないコミュニケーション、すなわち非公式なコミュニケーションによって強化されることがわかっているからです。

お互いの職務スキルだけでなく、お互いの存在自体に価値が感じられるような環境を、在宅勤務によって実現する必要があります。スマホが存在しない時代の遠距離恋愛を考えてみてください。うまく成就した遠距離恋愛というのは、決して多くはないはずです。

遠距離恋愛と同じように、お互いに離れて仕事をする同僚同士が、お互いの存在を大切な仲間として意識するのは難しいことです。しかし、こうした状況は、ITによって明らかに変化してきています。おそらくは、遠距離恋愛も、昔ほどには困難なものではなくなってきているでしょう。

近未来の日本の国力を左右する課題として

在宅勤務は、今後、親の介護をしながら働く人が急増することを考えると、日本の国力を左右する課題です。在宅勤務が成功すると、日本は、意外と大きく変化します。何よりも、オフィスコストが極端に下がることによる、企業収益の向上が大きいと考えられます。

在宅勤務が進むと、オフィスは、今よりもずっと小さなスペース(場合によってはオフィスなし)でよくなります。結果として、オフィス賃料が必要なくなるため、それが待遇の改善や、より多くの人材確保などに回せることになります。細かいことですが、オフィスまでの交通費も節約することができます。

結果として、オフィスとなるビルなどを所有する不動産業者や交通機関は、これまでとは同じ発想では生き残れなくなります。固定資産税ばかりがかかり、不動産を所有していること自体が負の遺産にもなりかねないのですから。

※参考文献
・産経WEST, 『「育児・介護の負担軽減効果を確認」 滋賀・草津市が在宅勤務を本格導入』, 2018年8月4日

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