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経団連が本腰を入れる?仕事と介護の両立支援が急務!

経団連が本腰を入れる?仕事と介護の両立支援が急務!

経団連の危機感は高まってきている

経団連は、今年の4月17日に『仕事と介護の両立支援の一層の充実に向けて(PDF)』という提言を出しています。この提言には、20の大企業における介護支援の取り組みが事例として掲載されており、事例集としての価値もあります。

この提言を読めば、経団連の介護に対する危機感はかなり高まっていることが理解できます。ただ、それがどこまで社会全体に浸透しているかというと、疑問もあります。従業員の仕事と介護の両立について、ほとんど何も対策を打っていない企業も少なくないからです。

そうした危機感のギャップが大きいという現状を受けて、経団連は、仕事と介護の両立に関するシンポジウムを開催することを決めたようです。以下、Sankei Bizの記事(2018年5月17日)より、一部引用します。

経団連が、企業に対し、「トモケア」の名称で仕事と介護の両立支援の取り組み加速を促していくことが16日、分かった。介護離職や休職を企業の共通課題と位置づけ、経営トップに介護支援のメッセージを発信することなどを求める。今月下旬にもシンポジウムを開催し、多くの企業に介護支援の環境整備などを呼びかける。(中略)

経団連は、2025年に団塊世代が75歳以上になる中で、介護対象者の急増が見込まれ、特に中心的な働き手となる50代の従業員にとって切実な問題になると危機感を持っている。(後略)

シンポジウムには介護事業者も呼ばれるのか?

このシンポジウムが持っている意味は大きいと思います。大企業が本腰を入れたら、日本の介護のありかたにも大きな影響があるからです。たとえば、大企業の福利厚生が介護の方向に発展したら、大企業支援という保険外のビジネスも活性化してくる可能性があります。

日本という国を動かしているのは、政治ばかりではありません。大企業の影響は大きいのです。そして政治にばかり社会福祉の充実を期待しても、うまく行かないことは、介護保険制度が開始されて以来の日本の介護を考えれば、ほとんど証明されてしまっていると言ってもいいでしょう。

このシンポジウムを通して、日本の大企業の意識が大きく介護に向かうことを願うばかりです。そのためにも、このシンポジウムには、ぜひ、介護事業者を呼んでもらいたいのです。介護事業者は、学者や研究者では表現できない、現場の肌感覚(インサイト)を持っているからです。

経団連から政策の提言を行ってもらいたい

こうしたシンポジウムを通して、大企業の中における危機意識を社会レベルで共有し、それを政策の提言につなげてもらいたいです。現時点での介護に関する政策の多くは、厚生労働省がリーダーシップをとって発案してきたものです。

厚生労働省も、限られた財源の中で、精一杯頑張っていると思います。しかし、それだけでは、もはやどうにもならないところまで、日本の介護は大変な状況になってしまっています。この状況を打開できるのは、大企業による政策の提言しかないと考えられます。

本気で、介護離職ゼロを目指すためには、産官学の連携が必要です。しかしこれまでは、それが上手く機能してきたとは思えません。その最大の理由は、危機感に関する温度差にこそあります。今回の経団連の動きが、この温度差を埋めることにつながることを祈るばかりです。

※参考文献
・Sankei Biz, 『経団連、仕事と介護の両立支援を加速 企業に環境整備など呼びかけるシンポジウムを開催へ』, 2018年5月17日

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