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介護をしていると昇進や昇格ができないという現実(働き方改革に向けて)

介護をしていると昇進や昇格ができないという現実(働き方改革に向けて)

大阪市の教育職員は介護によって差別されてきた

仕事をしながら、介護も頑張っていると、昇進や昇格ができるのでしょうか。実際に、仕事と介護の両立をしている人からすれば深刻な問題です。介護にはお金もかかりますから、昇進や昇格を通して、少しでも収入を確保しておくことは死活問題でもあるからです。

とはいえ、この疑問については「不都合な真実」があります。今の日本では、仕事と介護の両立は、昇進や昇格に不利に働く可能性が高いのです。これは、働き方改革を目指す日本にとって、最優先で取り組まなければならない課題になっています。

そうした中、こうした「不都合な真実」が、なんと規定として定められている組織があることが判明しました。しかもそれは、公的な機関だったというから驚きです。以下、MBS NEWSの記事(2018年3月6日)より、一部引用します(段落位置のみKAIGO LABにて修正)。

大阪市の教育職員の階級には現在、「教諭」に、学年主任などを担う「首席・指導教諭」、「教頭」「校長」とあります。そこに来月から導入が検討されているのが、「主務教諭」という新たな階級で、学年主任の補佐や新人教育を担うのが役割です。

ところが、教諭から主務教諭になるための選考の条件に、「育児休業や介護休暇を年45日以上取得すると選考対象外」とされていたのです。さらにこの議論の最中に新たな問題が発覚しました。(中略)

市教委は先週ようやく昇格試験の条件を削除して、制度設計を進めることとしました。しかし、これをきっかけに別の問題が発覚します。なんと、大阪市の職員には10年も前から“育休や介護休暇の年45日以上取得”で昇格試験の対象外となる要綱があったことが明らかになりました。(後略)

規定の削除で終わらせないために必要なこと

このニュースを受けて、おそらくは、日本全国の公的な組織が、内部規定を見直しているでしょう。その中には、ニュースにならないだけで、相当数の同様な規定が存在しているものと思われます。このニュースに取り上げられた大阪市の教育職員のケースは、氷山の一角にすぎないと考えておくべきです。

問題は、今後はこのような時代錯誤な規定をもった組織は減るでしょうが、実施的には、なにも変わらないということです。規定を追加したり削除したりすれば、それだけで風土が変わるのなら、なんの苦労もありません。問題は、こうした規定は、そこに培われてきた風土が文章化されたというだけで、風土自体の存在が厄介なのです。

本当の意味で働き方改革を進めるためには、様々な働き方を選択する個人が、正当に仕事の成果で評価させる社会が出現しなければなりません。それは容易なことではありませんが、ダイバーシティに対応したほうが、かえって生産性が高まるという状況を目指していけなければ、真の改革にはなりません。

リモートワーク(在宅勤務)で注意したいこと

様々な働き方があったとしても、それによって昇進や昇格が不利にならないという状況を作るには、リモートワーク(在宅勤務)の実現が不可欠でしょう。しかし、リモートワークを導入したものの、期待される効果が出ないまま、そうしたリモートワークの制度を廃止してしまう企業も増えてきています。

リモートワークが難しいのは、顔を合わせる機会の減った従業員のチームビルティングが困難だからです。制度としてのリモートワークを開始すると、何気ない朝の挨拶や、非公式な会話の重要性が際立つことになります。経営者は忘れがちなのですが、人間関係の構築があってはじめて、仕事もまた動き出すのです。

その意味において、働き方改革というのは、人間関係の構築効率の改革とも言えるわけです。少ない接触回数でも、仲良く楽しいチームができるように、様々な工夫をしていかないとなりません。それは大変なことですが、人間社会を明るくする、素晴らしいノウハウの蓄積にもなります。きっとそれは介護の現場にも応用できるようになるでしょう。

※参考文献
・MBS NEWS, 『育休・介護休暇で昇格できない!? 大阪市職員は10年も前から…」, 2018年3月6日
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング, 『平成24年度両立支援ベストプラクティス普及事業(仕事と介護の両立に関する企業調査)』(厚生労働省委託事業), 2013年3月

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