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本当に大丈夫?介護について社内の実態調査をしている企業はわずかに2割

本当に大丈夫?介護について社内の実態調査をしている企業はわずかに2割

実態調査さえ行っていない企業が大半

日本生命は、従業員300名以上の企業898社に対して、福利厚生などの状況を報告書としてまとめています(日本生命保険相互会社, 2018年)。その報告書の中で、従業員の介護の実態把握をしていない企業が大半であるという恐ろしい事実が明らかにされています。

従業員が10,000名を超える企業において、こうした実態把握のためのアンケート調査をしているのは3割強に止まりました。全体では、わずかに2割です。逆に言えば、日本の企業の8割は、従業員が仕事と介護の両立に苦しんでいるか、どれくらい不安に思っているか、なにか準備をしているかといったことを把握していないのです。

少子高齢化によって、これから、ますます従業員の採用は困難になっていきます。ですから、少しでも介護離職を減らし、従業員にはできるだけ長く会社で働いてもらうことが大事になります。いちど退職されてしまうと、その人のポストを埋めるためには、莫大な採用費と教育費がかかるからです。

将来的には経営責任を問われるテーマになる可能性も

これから介護離職が増えていくことは、様々なメディアなどで、毎日のように報道されています。株主に経営を依頼されている経営者は、そうした予測を深刻に受け止め、介護離職の対策を行うことが当然の義務です(善管注意義務)。その義務を怠れば、法的な責任を問われる可能性があるのです。

介護離職は、40〜50代のベテラン社員に起こりやすことが知られています。この世代は、会社内でも重要なポストにあることも多く、介護離職が発生してしまうと、企業の業績に大きなダメージを与えてしまうのです。

いずれは、株主総会などで株主から「介護離職の予防策」について問われる日がきます。そのときに「法定の介護休業制度が整備されています」といった程度の回答では、株主は満足しないはずです。会社の宝である人材が介護のために仕事に集中できないような状況を放置していては、経営者失格でしょう。

企業は何をしなければならないのか

企業は、従業員の介護の実態把握のために(1)すでに介護をしている人とそうでない人の振り分け(2)すでに介護をしている人の支援ニーズ把握(3)まだ介護がはじまっていない人の介護がはじまる時期の予測、は最低限のことでしょう。

これらに加えて、まだ介護がはじまっていない従業員については(4)いざ介護がはじまったら主たる介護者になるかどうか(5)介護の負担はどれくらいの大きさになりそうか(6)そうした負担を下げるための具体的な方法について理解しているか、といったことも確認する必要があるでしょう。

そして、これらの調査結果から、いざ、従業員に介護がはじまったら、それぞれに、何日くらい仕事を休むことになりそうかどうかもシミュレーションしておきたいです。こうした基本的なことを把握することなしに、ただ、介護のための休業日数を増やすような施策を打ち出しても意味がありません。

長期の休暇が取得できるようにすれば介護休業を避けられるというのは大きな誤解です。本当に大切なのは、仕事と介護の両立がはじまっても、仕事をできるだけ休まないで介護に対応するということです。そのために必要になる介護サービスについて、従業員の教育を進めていかないと、必ず大変なことになるでしょう。

※参考文献
・日本生命保険相互会社, 『ニッセイ『福利厚生アンケート調査』報告書』, 2018年1月26日

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