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介護をするために時短勤務・在宅勤務をしている従業員は、昇進できるのか?

時短勤務

介護をするために時短勤務・在宅勤務をしても昇進できる?

まず、この問いは、誰に向けられているものか、考えてみてください。本当は、こうしたことに悩むべきなのは、現実に仕事と介護の両立に苦しんでいる人ではなくて、多くの人の人生を預かる経営者なのです。

これから、仕事をしながら介護をする従業員は、どんどん増えていきます。そうした従業員の中には、将来の幹部候補と考えられてきた人も、多数含まれることになります。そうした未来は、自分の会社にはやってこないと考えているならば、経営者としては失格です。

極端なケースでは、善管注意義務(民法第644条)違反になる可能性もあります。従業員の多くが、これから介護離職の危機に突入していくことが明らかにもかかわらず、それに準備をしていないことは、株主からみて経営の怠慢に見えるからです。

今、経営者に求められているのは、時短勤務・在宅勤務でも昇進できる職場環境の整備です。これは、プライベートを犠牲にして、仕事に邁進する人だけが偉くなれる「マッチョな職場環境」とは真逆にある考え方です。

ちなみに、現在の日本の職場環境は、介護のカミングアウトをするだけで昇進が不利になるという「不都合な真実」がまだあるような状態です。

「なでしこ銘柄」になっている企業に学ぶ必要がある

日経マネーは、育児をする女性にとって働きやすい職場を、特に「なでしこ銘柄」として取り上げています。たとえば、カルビーでは、時短勤務をしている女性が、執行役員にまで昇進しています。

過去、女性の昇進には、男性と同じように「マッチョな職場環境」で働くことが求められました。いや、むしろ男性以上に男性的でないと、周囲が認めれくれない面が強かったのです。「あの人は、女を捨てている」というのが、褒め言葉になっている日本企業の異常性に、そろそろ気がつかないとなりません。

介護と育児は違います。しかし、時短勤務・在宅勤務が必要なときがあるという意味では、共通するところもあります。「マッチョな職場環境」を捨てない限り、女性を活用できないだけでなく、全ての従業員を活用できなくなっていくのです。

これは結局、昔から言われている「日本企業の生産性」に関する問題です。以前より、日本企業は、海外の企業と比較して、長時間労働をしているのに、それが売り上げや利益に直結していないことが知られてきました。生産性が低いのです。

「マッチョな職場環境」を改めるということは、生産性を高め、残業代を減らし、結果として企業の収益構造も改善するという、本来の経営にとってあるべき活動なのです。

時代は、フレキシブルな勤務を応援しはじめている

実は、時代はフレキシブルな勤務に対して、追い風になってきています。特に、ITの発展によって、在宅勤務の可能性がどんどん高まってきています。これは、決して夢物語ではありません。

たとえば、メガネ型デバイスによるVR(バーチャルリアリティー)の開発がどんどん進んでいますが、これが実用化されてくると、ネットの中にオフィスができて、自宅にいながらにして、そこで働ける状況になります。

企業にとっても、在宅勤務が進むと、高いオフィスの賃料を支払わなくてよくなります。配当金を増やしてほしい株主も、高いオフィス賃料からの脱却を目指す経営は、応援してくれます(というか、むしろそれをプッシュします)。

こうした在宅勤務が可能になれば、ラッシュの電車に乗る必要もなくなり、その分だけ、ストレスも減らせます。さらに、通勤時間という無駄な時間がなくなるのは、仕事と介護の両立に苦しむ人にとっては、実質的な時短になり、とても助かります。

この時代になると、電車やバスといった交通機関と、オフィスの貸し出しをしてきた不動産業は、ビジネスが難しくなります。そうした業界にいる人は、これを前提として、新たなビジネスを考えていかなければならないでしょう。

※参考文献
・日経電子版, 『変わるか?日本の昇進 短時間勤務の女性役員が誕生』, 2013年12月19日

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