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介護休業の使いかたについて;間違えると退職リスクが高まります!

引きこもり

「ちょっと休む」ことの危険性について

「引きこもり」とは無縁の人生をおくってきた人にとって、「ちょっと休む」ことの怖さは、なかなか実感できないかもしれません。しかし「引きこもり」に至る心理的なプロセスは、意外と誰にでも起こり得るものであり、そのはじまりは「ちょっと休む」ということだったりするのです。

「引きこもり」になる理由として最も多いのは、実は職場に適応できないこと(28%)です。不登校(19%)よりも、職場での立場が「引きこもり」につながってしまうのです。

はじめは、職場のストレスから逃れるために「ちょっと休む」という選択をしたとします。ですが、その結果として得られるのは、さらに職場に馴染めなくなるということです。休んでいる間に、ビジネスの状況はもちろん、職場の環境は変わっているからです。

介護休業のリスクは、職場への不適応にある

法定の介護休業は、最大で93日です。企業によっては、この期間をさらに伸ばしていることも少なくありません。ここで、制度があるからということで、長期間の休みをとってしまうと、職場に戻れなくなる可能性があるのです。それは、職場の仲間の配慮の問題ではありません。

介護がはじまると、特にその初期には、仕事に穴をあけるようになり、職場への適応が下がります。そこで、ということで介護休業を取得することは「引きこもり」を生み出してしまう心理的なプロセスに、驚くほどよく似ているのです。休み明けには、職場への適応がさらに下がっているわけですから。

自分は、そんなことにはならないという自信もあるかもしれません。ただ、実際に経験したことのないことについて考える場合は、やはり、統計的にはどうなのかを知る必要があると思います。そのとき、介護休業のリスクが見えてくるのです。

職場に復帰しようとするときの心理

介護休業によって、ある程度、介護のほうのめどはついたとします。さあ、復職だという気持ちになったとき、同時に沸き起こるのは、自分がいない状態でも回っていた職場に、自分の居場所はあるのかという不安です。

「自分がいなければ仕事にならない」といった自信は、長期休暇から復帰するときには、砕かれています。それほど必要とされていない職場に、自分が戻る理由は、どこにあるのでしょう。そんなことをグルグルと考え始めると、もう1日くらい休んでおくかという気分にもなります。

いかに、介護のめどがついたとはいえ、復帰してからも、不規則な有給休暇の取得は必要になるでしょう。そもそも、仕事と介護の両立を考えるということは、職場への適応生を少し下げるということでもあります。程度の差はあれ、出張や残業ができなくなったりするのが現実だからです。

このとき、介護休業を終えようとしている人は、「引きこもり」が生まれてしまう原因と同じものを突きつけられることになります。もちろん、それを乗り越えられる人もいるでしょうが、そうではない人もいます。自分が、このどちらになるのかは、実際にその場に立ってみないと、わからないことだったりもするのです。

経営者、人事部、本人が注意しなければならないこと

介護休業は、かなりの長期の休みです。その取得は、介護のめどをつけるためには、必要なものかもしれません。それでも、そこには「引きこもり」が生まれてしまう心理的なプロセスが、リスクとして口を開けているのです。

可能であれば、長期の休みは避けたいです。午前休や定時退社を組み合わせつつ、どうしても休む必要があるときは、長期の介護休業ではなく、有給休暇で対応していくことを考えてください。

長期の休みになると、その人がいたポジションに、人員の補充が必要になってしまいます。人員の補充は、帰る場所の喪失でもあります。ですから、人員の補充がある場合でも、それは短期的なプロジェクトとしての対応であるべきです。

そうした意味で、介護休業は、制度としては存在していても、その利用については、経営者、人事部、本人の皆が注意しなければならないものです。ここに失敗すると、介護を理由とした退職につながってしまいます。

介護休業は、本当に必要になるときには仕方なく、しかし、できれば活用を避けたい制度だというのが、現場感です。介護休業の期間を伸ばすということも大事かもしれませんが、それはもしかしたら、介護離職の防止にとっては逆効果かもしれないという認識も持ちたいところです。

※参考文献
・東京都, 『ひきこもりでお困りのご家族のために』
 

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