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人工知能に仕事が奪われない「高プロ」は介護離職リスクも低い?

人工知能に仕事が奪われない「高プロ」は介護離職リスクも低い?

人工知能が仕事を奪う?

現在、世界中で、人工知能(AI)を使った業務効率化が進んでいます。そうした流れを受けて「人工知能によって仕事が奪われてしまうのではないか」という懸念が広がっています。昨今、日本のメガバンクでも大規模なリストラが発表されたとおり、これは懸念というよりも、もはや現実になりつつあります。

人工知能に奪われそうな仕事ランキングのようなものも多数発表されています(なお、介護の仕事は奪われないほうにランクインする傾向があります)。ただ、こうしたランキングのようなものは、現場のことをあまり知らない学者などが出していることが多いため、信頼性は期待できません。

そうした中、人材紹介会社のロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社がアンケート調査をした結果(有効回答数293人)、人工知能に自分の仕事が奪われる不安には、年収依存性がありそうだということがわかってきました。

調査対象となっているのは、いわゆるグローバル人材(外資系企業やグローバルに事業展開する大手企業に勤務するバイリンガル人材)に限定されている点には注意が必要ですが、とても示唆的です。以下、同調査結果をベースとして考えを進めてみます。気になる場合は、原典を当たってください。

人工知能に仕事を奪われると回答したのは39%

まず「自分の仕事がAIに奪われる時が来ると思うか?」との問いに対して「はい(奪われます)」と回答したのは39%になりました。逆に「いいえ(奪われません)」という回答は61%になっています。だいたい4割くらいの人が、人工知能を脅威に感じているということになります。

人工知能を脅威に感じている人材は、その98%が、なんらかのスキルアップによって、この危機を乗り越えようとしていました。上位から、課題解決スキル(33.7%)、経営スキル(32.1%)、創造力(28.9%)、情報分析スキル(26.9%)といった具合です。

どれも、経営に近いところで仕事をするためのスキルアップであり、経営者からの距離が遠いと危ないということかもしれません。とにかく、ただ座して危機を待っている人材はほとんどいないというのは、頼もしい限りです。

ここにも二極化があり「高プロ」は余裕か?

ただ、先の数字だけでは見えないことがあります。そのためには「高プロ」と呼ばれる人材について、少し理解しておく必要があります。「高プロ」とは「高度プロフェッショナル制度」のことを示す言葉で、一般の労働基準法とは異なる法律で管理する制度や、その制度が適用される人材のことを意味しています。

一般の労働基準法では、基本的に、労働時間は1日8時間、週40時間であり、それを超過する場合は残業代が支払われなければなりません。休日出勤や深夜残業には割増が必要です。しかし「高プロ」はというと、労働時間の規制や残業代、休日出勤や深夜残業の割増などの支払い対象とはなりません。

その代わり「高プロ」として認定されるには年収が1,075万円を超えていることや、時間にしばられない専門性(アナリスト、コンサルタント、研究開発職など)があることが必要条件になります。「高プロ」の場合、いつでも好きな時に仕事をしながら、成果だけで評価されることになります。

そんな「高プロ」に認定されるか、それに近い条件になっている人の場合は、先の質問「自分の仕事がAIに奪われる時が来ると思うか?」に対して「はい(奪われます)」という回答が27%にすぎませんでした。これに対して、年収が450万円未満の労働者の場合「はい(奪われます)」の割合が54%と「高プロ」の2倍になったのです。

仕事と介護の両立においても「高プロ」が有利

仕事の正解を、労働時間とは関係なく追い求めることができる人材は、仕事時間を自由に設定しやすいでしょう。こうした状態は、仕事と介護を両立する上で、非常に有利になります。なぜなら、介護をしていると、急な対応が求められることも多いからです。

その意味からすれば、ますます高齢化が進む日本において、介護離職を減らしていくということは「高プロ」として働ける人材を増やしていくということでもあるでしょう。そのために必要となるのは、まさに、課題解決スキル、経営スキル、創造力、情報分析スキルといったものになります。

人工知能に仕事を奪われないために努力をすることは、そのまま、介護離職から遠ざかることにもつながるのかもしれません。誰もが「高プロ」として働くことは難しいかもしれませんが、それでもなお、仕事と介護を両立させていくための方向性のようなものは、これによって示されるのかもしれません。

※参考文献
・ロバート・ウォルターズ・ジャパン株式会社, 『会社員の6割「AIに仕事を奪われない」と予想 高プロvs一般職 年収差で意識に違い』, 2017年11月28日

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