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産業医の8割がメンタルヘルス対応(過労対応)に自信がない・・・

産業医の8割がメンタルヘルス対応(過労対応)に自信がない・・・

ストレスチェックと産業医の仕事

従業員50名以上のすべての企業に対して、従業員のストレスチェックが義務付けられています(2015年12月1日より)。簡単に言えば、過去にも実施されてきた健康診断の一貫として、身体だけでなく、メンタルもチェックしなさいということです。

産業医は、健康診断の実施と面接などにも責任を負い、従業員の健康維持を専門とします。職場環境の改善や、仕事内容への助言なども求められ、さらに健康教育や健康相談の受付といった仕事もしています(労働安全衛生規則第14条第1項)。

さらに産業医は、少なくとも月に1度は職場を観察し、職場環境や仕事内容が、従業員の健康に有害となるおそれがある場合、直ちに、その防止に動かなければならないのです(労働安全衛生規則第15条第1項)。

産業医の仕事は、責任重大なものです。過去から現在まで、日本の労働者が頑張ってこれたのも、産業医による支援があればこそでしょう。そんな産業医の責任は、ストレスチェックの義務化以降、さらに大きなものになっているわけです。

そして、企業におけるメンタルヘルスの問題は、どんどん深刻になってきています。メンタル問題が増えているということだけではありません。労働力人口の減少にともなって、従業員に辞められてしまうことの企業業績への影響が大きくなっているのです。だからこそのストレスチェックの義務化でもあります。

産業医はこれをどう感じているのか

こうした状況に対して、産業医たちはどう感じているのかを調べた調査(有効回答数500人)があります。その調査結果の報道(メドピア株式会社, 2017年)より、以下、サマリー部分を引用します。

1. 産業医の7割が非常勤。1社あたりの平均勤務時間は1ヶ月わずか2時間未満が多数で、従業員との面談・相談対応に割く時間の確保に課題。

2. 従業員のメンタル不調や過労の早期発見・対策への役割に自信がない産業医が8割。精神科の専門性の不足や、時間の不足に課題。

3. メンタル不調者への早期介入に産業医の立場・役割としての限界を実感。気軽に相談できる第三者との連携を要望。

理想はともかくとして、現実には、労働者のメンタルヘルスへの対応は、ほとんどできていないということです。これから仕事と介護の両立を強いられる労働者が激増していくことを考えたとき、これは、非常に危険な状態だと考えられます。

従業員の「介護うつ」への対応は産業医の仕事

介護をしている人の4人に1人が「うつ」であり、この割合は、介護をしていない人の3倍も大きいという事実があります。仕事のストレスだけでなく、介護のストレスも同時に抱えてる労働者が増えるわけですから、産業医には、ここへの介入も期待されているはずです。

ですがそもそも、医師たち自身が、すでに過労死レベルの仕事を強いられているのです。そんな医師に対して、産業医だからということで「メンタルヘルスも追加でよろしく」ということ自体に無理があるのです。これは、非常にまずい状態です。

本来であれば、仕事と介護の両立に対して、医師の視点も合わせて、支援制度の設計がなされてしかるべきところです。しかし、そうした支援制度の設計に介入できるような余裕は、もはや医師にはないわけです。そうなると、どこの企業も、せいぜい、ガイドラインに従うくらいしかできなくなるでしょう。

しかし、介護というのは、高度に個別性が高い問題なのです。特定の労働者には有効な支援が、別の労働者には有効ではないということが頻発します。そうしたところでは、ガイドラインだけがあっても、使い物にはならない可能性が高くなってしまいます。

産業医ならぬ、産業ケアマネのような、仕事と介護の両立専門の相談役が必要だと考えられます。この場合、産業ケアマネには、産業医に代わって、仕事と介護の両立が生み出すストレスへの対処につながるような、メンタルヘルスの専門性も求められるでしょう。とはいえ、ケアマネも余っているわけではなく、むしろ足りないのですが・・・

※参考文献
・メドピア株式会社, 『産業医の約8割がメンタルヘルス不調・過労対応に自信がない、「時間」「専門性」「相談しにくさ」に課題感 ~first callが産業医500人に調査~』, 2017年11月30日

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