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企業がどのような介護支援制度を整備しているか、経団連による調査が行われます。

企業がどのような介護支援制度を整備しているか、経団連による調査が行われます。

経団連による調査がはじまります(大注目)

企業は、従業員のための介護支援制度を充実させようとしています。その背景にあるのは、慢性的な人手不足です。今後も、人口減少と高齢化にともなって、労働力人口は急速に減っていきます。この影響は、一般に想像される以上に深刻です。

新たな人材は、どんどん採用できなくなっていきます。同時に、長時間労働は認められない時代です。であれば、企業は、今いる人材に、少しでも長い期間(長時間ではなく長期間)働いてもらおうとします。その流れの一つが、仕事と介護の両立を支援するという、介護支援制度の充実なのです。

そうした中、経団連が、企業における介護支援制度の事例研究を行うことを発表しています。この調査の持つ意味は、かなり大きいと考えられます。まずは以下、SankeiBizの記事(2017年8月14日)より、一部引用します。

経団連が、従業員に対する企業の介護支援について、実態調査を行うことがわかった。来春にも各社の制度や介護休暇取得状況、先行事例などをまとめた報告書を策定する。高齢化に伴う介護離職が社会問題となるなか、先行事例をまとめ、経済界としての支援策を強化する考えだ。

経団連は会員企業を対象に調査を行い、介護支援に対する現状を把握。その上で、優れた取り組みなどの事例をまとめ、産業界が個々の実情にあった制度を導入する際のモデルケースとして示す方針だ。(中略)

東京商工リサーチの調査によると、企業の7割が「将来に介護離職者が増える」と考えており、自社の介護支援策が不十分だと考えている企業も約7割にのぼった。特に人手不足が大きな経営課題となる中小企業では、介護離職の増加が企業の存続に関わる深刻な問題となりかねない。(後略)

この調査に注目すべき理由とは?

この調査は、現在の介護支援に関するトップランナーの取り組みを明らかにします。こうした事例から、多くの企業が学べるという点も大事ですが、この調査にはそれ以上の意味があります。それは、企業が持つ「ライバルに負けたくない」という気持ちを刺激する材料としての意味です。

企業は、その定義からして競争的です。企業というのは、事例として競合他社の優れた取り組みが世間で広く取り上げられたら、ソワソワしてしまうものです。これをきっかけとして、日本企業の間に、優れた介護支援制度をめぐる競争が生まれることが理想なのです。

そもそも採用の本質とは、採用広告にお金を使うことではありません。従業員にとって、働きやすくて働きがいのある職場をつくるのが採用の本質です。とはいえ、良いものであれば売れるわけではないのと同様に、良い職場であれば採用に成功するわけではないという点には注意も必要ですが。

逆に言えば、私たちは単純な広告に負けるのではなく、良い職場をできる限り正しく評価する必要があります。そして仕事と介護というテーマは、そうした評価項目の中でも特に重要なものになりつつあるのです。こうした前提に立つと、今回の経団連による調査の持つ影響力の大きさが、改めて認識されます。

介護離職を回避するための5つのポイント

介護支援制度が優れているかどうかは、介護離職の回避にどれだけ良い影響を与えられたかによって判断されるべきでしょう。ですから、介護支援制度を設計したり評価したりする場合は、介護離職を避けるために有効であると考えられているポイントについて理解を深めておくことが肝要です。

ここで、介護離職を避けるためのポイントは(1)介護の初期にありがちな介護パニックから早期に脱出する(2)たとえ制度があっても、なるべく長期の休みは取らない(3)身体介護と家事の負担は、できるだけ分散する(4)自治体の窓口を相談先として活用することを忘れない(5)自分に合っている家族会を見つけて参加する、という5つです。

私たちは、会社の介護支援制度の成熟に期待しているだけでなく、仕事と介護の両立に挑む従業員として、その発展に貢献することが大事です。とはいえ、同時に、会社による支援に期待しすぎないで、自分の身は自分で守るという意識も変わらずに必要でしょう。

日本から、介護離職に限らず「辞めたくないのに辞める人」がゼロになることを夢見ているのは、みな同じことです。しかし、ただ夢見ているだけでは、何事も変わりません。まずは社会全体で、企業における介護支援制度の充実を実現していきたいものですね。

※参考文献
・SankeiBiz, 『企業の介護制度、経団連調査へ 来春にも報告書 離職防止の支援強化』, 2017年8月14日

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