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名古屋技研工業が、介護離職防止のために、独自に介護サービスを開始!

企業が介護離職防止のために、独自に介護サービスを開始?

日本の人材難は、介護問題への注目につながる

介護業界は、恐ろしく人手不足の状態にあります。同時に、そうした人手不足は、介護業界だけの話ではなく、あらゆる業界に共通する問題になりつつあります。日本の人口が急速に減少しているのですから、それも当然のことです。

そうなると、企業としては、採用だけでなく、今の従業員に、すこしでも長く働いてもらうことも大切になります。採用の見込みが立たなくなっていく中で、より、今の従業員への注目は高まっていくでしょう。

そうした背景が顕在化する中、いよいよ、企業が自らの従業員のために、介護事業に乗り出すというニュースが入ってきました。以下、日本経済新聞の記事(2017年7月28日)より、一部引用します。

中堅自動車部品メーカーの名古屋技研工業(岐阜県中津川市)は従業員の高齢者家族が利用できる社内デイサービス施設を開設する。工場のそばに設け、社員が安心して働ける職場作りを目指す。人手不足の深刻な中部の企業では社内で子供向けの保育施設を開設する動きも目立つ。介護や子育てを理由にした離職を防ぎ、優秀な人材の確保につなげる。(中略)

すでに9人の社員が利用を希望しているという。利用料金は開設までに詰めるが、一般のデイサービス施設よりは安めに設定する方針だ。将来は従業員の家族以外に退職者や地域の住民に開放することも検討している。市と調整しながら認可獲得の準備を進める。(中略)

高齢者家族を抱える社員が安心して働ける環境をつくることで新卒採用や離職率の低下につなげるのが狙いだ。大都市に比べて高齢者施設が少なく、受け入れ余地も限られることから、自ら施設を運営することを決めた。黒柳昌可社長は「施設は中長期的に充実させていく」と説明する。(後略)

業務委託ではなく、本格的な参入であることがすごい

企業が、従業員のために介護関係のサービスを行うという話は、たとえば、介護相談窓口の設置など、過去にも存在していました。ただ、こうしたサービスは、実際には業務委託として、既存の介護事業者が提供していることがほとんどでした。

しかし、今回のニュースがすごいのは、名古屋技研工業の場合、独自にサービスを生み出し、認可獲得まで視野に入っている点です。業務委託ではなく、これから、名古屋技研工業として、介護サービスに参入しようというのですから、一般の事例とは戦略がまったく違います。

家族以外にも地域の住民へのサービス解放も考えているというところも、企業による地域貢献の新しい形になっています。もしかしたらこうしたところから、まったく新しい介護サービスが生まれてくる可能性もありますね。

労働者にとって当然の条件になっていくか?

こうしたことができる名古屋技研工業は、すばらしい会社だと思います。労働者からしても、こうした介護に手厚い会社には、今後、大きな魅力が感じられるようになっていくでしょう。そうなると、しばらくは、名古屋技研工業は、採用が楽になる可能性があります。

しかし、経営学的に考えた場合、このようにして生み出された戦略は、真似が難しくない場合(模倣困難性が低い場合)、すぐに競合に真似をされます。そうして、いつかは、介護に手厚い会社であることが有利になる時代は終わり、そもそも、介護に手厚くなければ労働者が働いてくれないという時代に突入するのです。

それはちょうど、過去には珍しかった週休2日制が、いまでは当たり前ということと似ています。労働者として働く企業を選ぶということは、政治における投票活動と同じです。特に、労働者の数が足りない時代には、この投票が大きな影響力を持ちます。個々の人材が、どういう会社で働くことを選ぶのかが、とても重要な時代なのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『「高齢者デイサービス施設」企業が自前で 介護離職防ぐ』, 2017年7月28日

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