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「75歳以上の老老介護」ついに30%を超える。かつてないほど、介護離職のリスクが高まっている。

「75歳以上の老老介護」ついに30%を超える。かつてないほど、介護離職のリスクが高まっている。

「老老介護」の現在地

介護をするほうも、されるほうも、どちらも高齢者(65歳以上)である状態を、特に「老老介護」と言います。実際の介護には力仕事も多くあり、高齢者には辛いだけでなく、危険でもあります。パートナーの介護をしていたつもりが、自分のほうもまた、介護が必要になってしまうようなことも起こりかねないのです。

そうした「老老介護」の中でも、介護をするほうも、されるほうも、共に75歳以上という高齢者による「老老介護」が増えてきています。いつなんどき、2人同時に介護が必要になってもおかしくないような状態にあるケースが増えているということです。以下、NHK NEWS WEBの記事(2017年6月27日)より、一部引用します。

急速に高齢化が進む中、在宅介護のうち介護をする側と受ける側がいずれも75歳以上の「老老介護」の割合が初めて30%を超えたことが厚生労働省の調査でわかりました。厚生労働省は「高齢化と核家族化で今後も老老介護は増えていくと見られ、支援していく必要がある」としています。(中略)

家族や親族による在宅介護のうち65歳以上の高齢者が主に介護を担う「老老介護」の割合は推計で54.7%で、前回の4年前の調査より3.5ポイント増えて過去最高になりました。また、介護をする側と受ける側がいずれも75歳以上の割合は全体の30.2%でした。これは、前回を1.2ポイント上回り、平成13年に調査を始めてから初めて30%を超えました。(後略)

介護離職のリスクが高まっている

親の介護において、片方の親だけに介護が必要な場合、もう片方の親が主に介護を担うことになります。このような状態にある場合は、親の介護とはいえ、子供の側にかかる負担はそれほど大きくはなりません。実際に、両親がこうした状態にある子供は、多数いると思われます。

たとえば、片方の親の介護に必要な負担を100%とします。「老老介護」の間は、子供は20%程度の負担で、残りの80%くらいは、もう片方の親が負担していたとします。この「老老介護」がいよいよ無理になった場合、両親の介護に必要な負担は200%になります。20%だった負担が200%と10倍になったとき、子供は仕事を続けられるでしょうか。

現在、仕事と介護の両立が求められるような世代には、一人っ子も多くいます。一人っ子が、2人の親の介護を行うというのは、かなりの負担です。相当なお金持ち以外は、仕事との両立は苦しいのではないかと思います。そうなると、子供の介護離職が、より現実味を帯びてきてしまいます。

「老老介護」は導火線の火である

「老老介護」は、それ自体も問題です。しかしそれ以上に、これが、介護離職の大量発生という社会的リスクに直結しているという点が、より大きな問題なのです。介護離職が大量発生してしまうと、税収が減り、ただでさえ枯渇しつつある日本の社会福祉財源がかなり痛むことにもなるからです。

つまり「老老介護」とは、より大きな問題を爆弾とする、導火線の火です。今回のニュースは、導火線の火がどんどん爆弾に近づいているということを意味するわけです。爆弾が爆発してしまう前に、介護の社会化を、より進めておかないと、本当に大変なことになってしまいます。

本当に恐ろしいのは、こうした「老老介護」を、自分とは関係ない話だと思っている人々の存在です。無関心な人のほうがマジョリティーだと、多数決を前提とした民主主義社会では、変化を起こすことが不可能になります。なんとか、介護への社会的な関心を強めて行きたいです。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『75歳以上の「老老介護」初の30%超に』, 2017年6月27日

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