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介護離職をしてしまう人は、その決断を、誰かに相談しているのか?(ニュースを考える)

介護離職をしてしまう人は、その決断を、誰かに相談しているのか?(ニュースを考える)

介護離職をするとどうなるのか?

介護離職は、仕事と介護の両立が不可能と考えて、介護に集中するために離職するという選択です。しかし、この選択をすると、精神的、肉体的、金銭的な負担はむしろ増してしまうことがわかっています。介護離職をすると「負担はかえって増えた」と感じる人が約7割にもなるのです。

介護離職後に、なんとか再就職できたとしても、男性の場合で収入は4割減、女性の場合だと半減することがわかっています。正社員としての再就職は困難で、約7割は、非正規の雇用を選ばなければならなくなります。

再就職できないというケースも多数あります。そうなると、介護が一区切りつくまでは、無職です。介護は長期間に渡りますから、そのまま破産してしまうことも多いのです。破産しないまでも、貯金を節約するために介護のプロは使わず、自分で介護を行うことになったりして、ますます再就職が遠ざかるということにもなりかねません。

介護離職の決断を相談しているか?

介護離職をする人は、それが、生活保護まっしぐらなリスクのある決断だということを、そもそも理解しているのでしょうか。それだけ重い決断なのですから、周囲の誰か、特に介護に詳しい人に相談すべきことです。ここに関して、毎日新聞の報道がありました(2017年5月20日)。以下、一部引用します。

介護を理由に正社員から離職した人に「離職直前に介護と仕事の両立について誰かに相談しましたか」と聞いたところ、「誰にも相談しなかった」が47.8%に上ることがみずほ情報総研(東京)の調査で分かった。(中略)

離職の理由(複数回答)は「体力的に難しい」が39.6%で最多。「介護は先が読めず見通しが困難」が31.6%、「自分以外に介護を担う家族がいなかった」の29.3%が続いた。

あれば仕事を続けられたと思う支援策(複数回答)は、「介護休業を取りやすくする」27.0%、「上司や人事部門の理解と支援」25.5%、「有給休暇を取りやすくする」24.3%、「残業が少ない」21.7%などが挙がった。

相談できる窓口の設置とその存在周知が求められる

約半数の人が、誰にも相談せずに、介護離職を決断しているということは、かなりショックな事実です。生活保護になってしまうかもしれないような決断は、できれば回避すべきところです。そのための努力の中に、他者の意見を聞くということがないのです。これは大きな問題でしょう。

過去に『介護離職を回避するための5つのポイント』という記事にも書きましたが、介護離職を避けるには(1)「介護パニック」から脱出するために介護を勉強する(2)会社の制度があっても、なるべく長期の休みは取らない(3)身体介護と家事の負担は、できるだけ分散する(4)自治体の窓口などを活用することを忘れない(5)自分に合っている家族会を見つけて参加する、といった活動が必要です。

先のニュースにある具体策は、介護離職をしてしまった人の希望として、意味のあるものです。しかし、それだけでは、実際には、介護離職の回避は困難だということにも目を向ける必要があります。

とにかく、介護はそれぞれに個別性が高く、介護の専門知識を持っている人によるアドバイスが必要です。そうしたアドバイスがどこで受けられるのか、自治体や企業の人事部は、働く人々に周知していくことが急務になっています。関係各所は、そのための予算確保を進めるべきでしょう。

※参考文献
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社, 『仕事と介護の両立に関する労働者アンケート調査』, 平成24年度厚生労働省委託調査結果概要
・産経新聞, 『衝撃…介護転職した人の年収は男性4割減、女性半減!「介護離職ゼロ」掲げる政府や企業は有効な手立てを打てるのか?』, 2016年2月18日
・三菱UFJリサーチ&コンサルティング, 『仕事と介護の両立に関する実態調査のための調査研究(労働者調査)』, 厚生労働省委託事業, 2013年3月
・毎日新聞, 『介護離職「相談せず」48% 決断前の情報提供が課題』, 2017年5月20日

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