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介護休業制度を知らない人が8割以上(ニュースを考える)

介護休業制度を知らない人が8割以上(ニュースを考える)

介護休業制度とは?

介護休業制度とは、親や家族に介護が必要になったときに、休業を最大93日まで取得することができるという国の制度です。来年からは、これを3回に分けて取得することが可能になります。また、この間の賃金の67%は、ハローワークに申請することで休業の後に給付されます。

3回に分けてというあたりは、本当は無制限とすべきですし、給付が休業の後になるところなど、使い勝手には問題もあります。とはいえ、この制度によって助けられる人もたくさんいるはずです。

大事なのは、この制度を利用するには、自ら介護休業制度を使いたいと申し出る必要があるということです。ですから、そもそも、この制度の存在を知らないと、使うことができない仕組みになっています。

人事部がこうした制度をしっかりと把握している大きな会社であれば、人事部のほうから、この制度の利用をおすすめされることもあるかもしれません。しかし、そもそも、介護に精通している人事部員というのは、まだ多くはありません。

つまり、いかに優れた介護休業制度があったとしても、そもそも、知らないと使えないのです。知らないと使えない、知らないと損をするというのは、日本の社会福祉における最大の課題の一つです。

この制度を知っているのは、40代以上の2割以下

この制度が、どれくらい浸透しているかに関して、オリックス・リビングが調査を実施しています(40代以上の1,238人が回答)。これについて、共同通信の記事(2016年11月20日)より、以下、一部引用します。

介護休業制度を「知らない」「聞いたことはあるが、内容は分からない」とした40代以上の男女が、計82.5%に上ることが民間によるインターネットの意識調査で20日までに分かった。2012年に3.2%と低い水準にとどまっていた介護休業の取得率引き上げには、まず制度の周知が求められそうだ。

この状態だと、いざ、自分が介護に巻き込まれ、仕事との両立が求められたとき、パニックになってしまうでしょう。周辺に、介護に詳しい人がいればラッキーです。しかし、最悪の場合、要介護認定の存在すら知らないまま、介護に突入することになります。

ほとんどの人が介護に関わることになる

自分には関係ないと思ってしまえば、大変なことになります。何事も、備えあれば憂いなしです。ほとんどの人が、程度の差はあれ、介護に関わることになります。それは、数年後のことかもしれませんが、明日からという可能性もあるのです。

しかし、介護に関する知識を得るのは大変です。介護制度の仕組みだけでも複雑なのに、その上、医学、看護学、薬学、心理学といった様々な学問を前提とした知識が求められます。

「そんなの、専門家に任せればいいじゃないか」というのは通用しません。なぜなら、専門の介護職の人数が足りないからです。介護の一部をお願いすることはできても、介護の全てを丸投げできるようなケースは(ほとんど)ありません。

「老人ホームに入ってもらえばいいだろう」というのも、かなり難しいと知っておくべきです。税金が投入されている公的な老人ホームは、数十万人規模での入居待ちという状態にあります。かといって、民官の老人ホームは、月額30万円といった規模での入居費がかかります。

近い将来、多くの人が、自分の手足を動かして、親の介護をすることになります。それを想定して、今から準備をしておける人と、そうでない人には、大きな差が生まれます。現実には、介護を理由に退職して、自らも生活保護となってしまうケースも多いのです。

介護保険制度をはじめとした、介護に関する知識を得るための機会は、もっと広く提供されないとなりません。義務教育の内側とするのはもちろん、各企業における研修の義務化などを整備していかないとならないでしょう。

※参考文献
・共同通信, 『介護休業制度を「知らない」8割』, 2016年11月20日

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