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みずほフィナンシャルグループの「介護離職ゼロ」プロジェクトが話題に(ニュースを考える)

みずほフィナンシャルグループの「介護離職ゼロ」プロジェクト
Toyama, Amaharashi Beach, METI, CC BY 4.0 International

みずほフィナンシャルグループの取り組みがニュースに

みずほフィナンシャルグループが「介護離職ゼロ」を目指し、介護支援制度を充実させたことが話題になっています。なお、みずほフィナンシャルグループの中核であるみずほ銀行は、従業員の4割が40~54歳の介護世代となるそうです。

将来発生するとわかっていても、正しい準備をするのは困難なものです。そんな中、他社に先駆けて、従業員の介護問題を重大な経営課題と正しく認識しているのはさすがであり、見習いたいところです。まずは、朝日新聞の報道(2016年9月28日)より、一部引用します。

みずほフィナンシャルグループは、3メガバンクで初めて社員がとれる介護休業の期間を1年から2年に延長し、休業中に賃金の一定割合の手当を出す方針を決めた。有給休暇を最大240日間まで将来の介護のために積み立てられる制度も設け、介護のために仕事を辞める「介護離職」をゼロにする計画だ。(中略)

育児・介護休業法では、介護休業は最大93日間とれる。この間は介護休業給付金として賃金の67%が支給される。みずほではこれまで最長1年間、介護休業をとることができたが、金銭的な補償はなく、昨年度、実際に活用したのは、社員約3万6500人のうちわずか9人にとどまっていた。

新たな制度では、公的な給付金支給が終わった後も会社が手当を出し、休業期間も延ばす。さらに2年間で権利が消滅する有給休暇について、介護を目的に使う場合に限って最大240日まで期限を切らずに積み立てておけるようにする。

有給休暇を最大240日間まで将来の介護のために積み立てられる制度

この報道の中で、最もインパクトがあるポイントは「有給休暇を最大240日間まで将来の介護のために積み立てられる制度」です。これがあると、企業における介護支援制度は、使えない表面的なものではなくて、本当に大きな意義を持ってきます。

報道では、介護休業が2年になることが強調されています。しかし実は、介護休業というのは、それを長期的に取得すると、かえって介護離職のリスクが高まることが指摘されています。これについては過去記事『介護休業の使いかたについて;間違えると退職リスクが高まります!』を参照してください。

なにかと制限の多い介護休業よりももっと重要なのは、必要なときに、必要なだけ休める有給休暇制度です。また、介護のために有給休暇を取得することについて理解のある職場を文化的に醸成することが介護離職対策の本丸でもあります。

ただ、こうした有給休暇制度については、本来であれば、その金銭的な負担を国が担い、企業経営を圧迫してしまわないようにすべきです。そうしないと、日本の国力そのものが落ちてしまうからです。この点について、もう少しだけ考えてみます。

日本全体に介護のための有給休暇を積み立てられる制度を広めて欲しい

優れた介護支援制度を受けられることが、企業にとって人材をひきつける採用力につながることは間違いないでしょう。同時に、全国民にとって必要になるような福利厚生部分については、企業が個別に担うべきところではなく、国家の責任のはずです。

実際に、これだけの介護支援制度を構築し運用できるのは、資金力に余裕のある大企業だけです。そうなると、お金のある大企業にばかり人材が集中し、お金のない中小企業やベンチャー企業は、ますます苦しくなります。しかし、中小企業やベンチャー企業が育たない国家に、未来はありません。

そもそも、介護事業者の中に、ここまでの介護支援制度を持っているところはないでしょう。介護を仕事としている介護職の人々も、その仕事と、親などの介護を両立しないとなりません。それができないと、日本の介護は止まってしまいます。

国は、ぜひ、こうした介護支援制度を日本全体に広げるためにも、企業に課す法人税の中に、介護支援制度を整えるための目的税を組み込んでいただきたいです。KAIGO LAB としては、それが、大介護時代を迎えた日本における正しい富の分配だと考えています。

※参考文献
・朝日新聞, 『目標は「介護離職ゼロ」 みずほ、介護休業を2年に延長』, 2016年9月28日

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