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介護離職防止に手厚い金融業界・・・これでよいのだろうか?(ニュースを考える)

介護離職防止に手厚い金融業界

介護離職が企業経営における最大のリスクに

これから、団塊ジュニア世代(1971〜1974年生まれ)の介護離職がより大きな問題となっていきます。団塊ジュニア世代は、現在、多くの企業においてベテラン・管理職の地位にあります。また、この世代は人口ボリュームが大きいため、企業内でも最大の人数がいるケースも多いのです。

この団塊ジュニア世代に、これから、介護が襲いかかります。兄弟姉妹が多かった昔とは異なり、兄弟姉妹が少なく、未婚率や離婚率も高い現在は、介護離職の危機に至る人の割合も高くなります。介護を通して介護離婚になることもあり、そうなるとさらに介護離職は増えてしまいます。

企業の置かれている状況も厳しいです。人口減少社会に突入し、労働人口も減っていきます。少子化によって新卒の数も減っているため、現在の従業員に辞められると、補充したくても、人材の補充が困難になっています(採用コストが上がっていく)。

このような背景があって、企業は、介護離職防止のために、きちんと施策を打っていかないと、大変なことになってしまうのです。そこで、きちんとした経営計画を立てられる企業は、介護離職防止のための予算を獲得し、専門の介護相談窓口を設置しはじめています。

同時に、労働者としては、企業の介護支援レベルが気になるようになってきています。なんの介護対策もしてくれない企業で働くことは、怖すぎます。新卒として入社するときはあまり気にならないかもしれませんが、転職先としては、介護支援レベルの高い企業を選ぶようになっていくでしょう。

介護支援レベルでも突出していく金融業界

まともな経営者であれば、このリスクを正しく認識しています。しかし、こうした介護離職の防止には、それなりの費用がかかります。その費用負担ができるか、できないかが、企業の未来に対して大きな影響力を持ち始めています。

そうした中、金融業界が手厚い介護支援に突入しつつあります。金融業界は、他の業界よりも給与や福利厚生がよいことで知られている業界です。それだけに、介護支援レベルも当然、高くなっていくのです。以下、NHK NEWS WEBの記事(2016年7月31日)より、一部引用します。

金融大手の、みずほフィナンシャルグループは家族の介護のために休みを取得できる介護休業について、期間の上限を年内にも、今の2倍に当たる2年程度に延ばす方向で検討しています。さらに、来年度からは介護休業を取得している従業員に対して、生活支援を目的とした手当の支給を始める方針です。

また、三井住友銀行は、ことし4月から「介護休暇」をより柔軟に取れるように、1日単位だけでなく、半日単位でも取得できるようにしました。このほか、りそなグループの、りそな銀行など3つの銀行は一部の従業員について、ことし4月から介護などの理由があれば、短時間勤務ができる期間を1年から3年に拡大しました。

日本の未来のためには国家による平等な支援が必要

こうした動きは、労働者にとってはよいことです。しかし、日本全体にとっては、資金的な余裕のある金融業界ばかりが人材をひきつけるようになってしまいます。より一般的にも、資金力のある大企業だけが介護離職のリスク回避をしつつ、中小企業やベンチャーは、介護リスクの波をモロに受けてしまうことになるでしょう。

企業が、自力で生き残るために、独自の介護支援を行っていくのは当然です。しかしそれは、日本の未来を作っていく中小企業やベンチャーを没落させ、大企業だけが生き残るような未来につながってしまいます。

こうした状態を少しでも緩和するには、国家が、介護離職防止のための施策を、中小企業にも行き渡らせるような支援が必要です。介護支援力の格差は、国の行く末を間違った方向にしてしまうからです。

そのための財源が厳しいのは理解できます。しかし、過去記事『2025年問題の核心(介護と医療の崩壊)』でも述べたとおり、まだ方法は残されています。

※参考文献
・NHK NEWS WEB, 『金融大手 介護離職防止へ支援強化の動き広がる』, 2016年7月31日

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