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介護をしたくても、休めないという現実について

介護をしたくても、休めないという現実

仕事と介護の両立が可能と回答したのは1割

まず、仕事と介護の両立が可能と考えている人は、1割程度しかいません(関連する過去記事)。多くの人が、休みもままならず、日々一生懸命働いてるから、これも無理のないことです。

そもそも、仕事と介護が両立しやすい職種というのは限られています。その条件は(1)権限移譲が進んでいる職種(2)同僚との連携が少なく独立してできる職種(3)仕事の仕方について自分で自由に決められる職種です(関連する過去記事)。これは、フリーランスに近い状態とも言えます。

そうした自由度の高い状態で仕事ができる人は少ないはずです。それが、仕事と介護の両立ができると考えている人が1割しかいないことの原因でもあるでしょう。このような背景が予想される中、愛知県豊田市が、市内の企業に対してアンケート調査を実施しています。朝日新聞の記事(2016年5月16日)より、一部引用します。

とよた男女共同参画センターは昨年10月、市内在住の40~50代の男女2千人(有効回答1099人)と、従業員20人以上の市内518事業所(同225事業所)を調査。

手助けや介護が必要な親などが身近にいる人が30.2%、将来必要になる可能性がある人は61.8%に上った。一方、介護休業の実績があると回答した事業所は15.1%、勤務時間の柔軟化で対処した事業所は16.0%にとどまった。

介護休業制度を充実させるだけでは介護離職は減らせない

介護離職を減らすには、柔軟な働き方ができる職場環境の整備が本丸になります。現実には、まだまだ難しいにせよ、将来的には、VR(仮想現実)技術を用いた在宅勤務などが進むことにより、仕事と介護の両立難易度は下がっていくはずです(関連する過去記事)。

とはいえ、そんな将来を待ってはいられない人も多数います。そうした人が注意すべきなのは、できるだけ長期の介護休業は取得しないということです。介護休業が長くなってしまうと、職場に戻りづらくなり、結果として介護離職につながってしまう可能性が高まるからです(関連する過去記事)。

近年、多くの企業が、介護休業の日数を延長したり、分割取得ができるようにしたり、休業中の給与をサポートしたりしています。しかし、こうした「よかれ」と思って設計された制度が、裏目にでる可能性もあります。経営者や人事部は、介護休業の運用には、特に注意したいところです。

企業の介護離職への対応はまだはじまったばかり

どのみち、ただ長期の休暇が取得できるようにすることと、本当の意味で柔軟な働き方のできる職場は違います。ですから、介護休業も大事ですが、それは必要条件にすぎません。場合によっては、必要条件にもなりません。

この問題は、企業文化の変革まで求められる、かなり根の深いものです。ですから、いざ、介護離職が頻発してから、何かをしようとしても、手遅れになってしまいます。今のうちから、多くの企業に、真の意味での柔軟な働き方ができる職場づくりに着手してもらいたいです。

この課題解決には、数年単位の時間が必要になります。いくら大金を積んでも、この時間の短縮は(まず)できません。企業の経営者や人事部には、まだ早いかなと思わずに、少しずつでも構わないので、介護についての勉強を進めてもらいたいです。

※参考文献
・朝日新聞, 『介護したい、でも休めない 豊田市が企業の実態調査公表』, 2016年5月16日

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