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介護ロボット協議会が立ち上がる(ニュースを考える)

介護ロボット協議会(コンソーシアム)

主役は介護現場!

厚生労働省が、介護ロボット協議会を立ち上げることがわかりました。「なにをいまさら・・・」という感じもありますが、1点、評価できるところがあります。それは、メーカーではなくて、介護現場を主役として位置付けているところです。以下、日刊工業新聞の記事(2016年1月19日)より引用します。

厚生労働省は、ロボット介護機器を開発するため、介護施設の運営者や介護従事者を主役とする協議会を初夏までに立ち上げる。介護現場の声やニーズを集め、おおむねどの現場でも共通して困っている点を抽出。ロボット技術で解決できるのかをメーカーと検討する。(中略)現在の体制では、介護現場のニーズを直接集める機能が弱いと見ており、介護側を主役にした場を設ける。介護側のメンバーは、特別養護老人ホーム(特養)や介護老人保健施設、在宅サービスなどの事業者や従事者を中心にする。

日本が苦手なことを克服するために

先端技術の開発は、国家間の競争です。こうした技術競争を、個別のメーカーにバラバラに戦わせるのは得策ではありません。国内の主要メーカーを連携させてコンソーシアム(団体)とし、どこのメーカーにも必要になる要素技術は、共同で開発することで、開発コストをおさえながら、開発速度を高めるといった大戦略が必要になります。

歴史的には、半導体関連の技術開発において、日本は、海外のコンソーシアムにことごとく負けてきたという経緯があります。日本でも、海外に負けないようにコンソーシアムが組まれてきたのですが、コンソーシアムが日本で成功したケースというのは、本当に少ないのです。

その理由は、日本の場合、利害が対立するメーカーが、お互いに技術を出し合うということを極端に嫌がるからです。また、リードを取る官僚も、頭はキレキレなのですが、感情面で多くの人を巻き込むという点で失敗することが多いようです。

介護ロボット産業は、これから世界中で必要になる重要なものです。ここで、個々のメーカーがバラバラに技術開発を行っていたら、また、アメリカやヨーロッパのコンソーシアムにやられてしまいます。しかしこれに負けると、結果として、将来は輸入品の介護ロボットが日本国内で多く採用されてしまう可能性があります。

今回の、厚生労働省による介護ロボット協議会は、こうした過去の反省の上に設計されているのでしょう。注目したいのは、主役を介護現場に位置付け、ユーザー目線を中心としたコンソーシアムを立ち上げようとしているところです。

同じ失敗を繰り返さないためのポイント(ベルギーIMECモデル)

半導体関連のコンソーシアムとして大成功したことで有名なのが、ベルギーのIMECと呼ばれる組織です。この組織が、成功のためにこだわったポイントは大きく3つあります。それらについて、以下に簡単にまとめておきます。介護ロボット協議会が、過去の日本のコンソーシアム失敗の反省の上にたち、IMECモデルのような成功の方程式に則っていくことを希望します。

1. 研究資源・リスク・コスト・知的財産(IP)をみなで分かち合う

コンソーシアムに参加する企業は、過去のプロジェクトで創出された知的財産について、無償での非独占ライセンスが得られる。また、コンソーシアム内の新たなプログラムで得られた知的財産を、コンソーシアムと共有することが義務付けられる。知的財産がどこに所属するかわからないような形には決してしない。

2.コンソーシアムに参加するメーカーの「非競争領域」を正しく定義する

メーカーにとって、共同開発したほうがプラスになる「非競争領域」を設定する。具体的には、どこのメーカーにとっても開発する必要のある領域であり、かつ、そこで負けてしまうと海外勢(正確にはコンソーシアム外のメーカー)に勝ち目がなくまってしまう領域であるべき。こうした意味のある「非競争領域」の中で、研究テーマを設定する。

3.研究テーマの設定においては、現場に近い専門家に任せる

研究テーマの決定・存続・廃止の意思決定には、コンソーシアムが全責任を負っている。コンソーシアムにとって顧客である各メーカーにとって魅力的なテーマを正しく選定することで、本当に必要な技術開発を行う。ここで、官僚のような現場から遠い人材は、研究テーマの選定に口を出さないことが重要(日本は、ここでよく失敗する)。

※参考文献
・鮫島正洋, 渋谷善弘, 『公的資金が投入されたコンソーシアムにおける課題と知財プロデューサーの必要性』, 特許研究(2010年)
 

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