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ゲームを活用した介護予防・リハビリ研究(シリアスゲーム)

シリアスゲーム

シリアスゲームという研究領域がある

シリアスゲームの第一人者である藤本徹先生(東京大学大学総合教育研究センター助教)によれば、シリアスゲームとは「教育をはじめとする社会の諸領域の問題解決のために利用されるデジタルゲーム」のことです。

簡単にいえば、シリアスゲームとは、ただ楽しむためのゲームではなく、社会的な課題の解決につながるゲームのことです。このシリアスゲームの研究が、介護、特に心身のリハビリ分野に拡張されてきています。

論文を読む限り、この分野において日本国内で先行しているのは、九州大学シリアスゲームプロジェクトだと思われます。九州大学シリアスゲームプロジェクトは、HPも充実しているので、興味のある方は、そちらも参照してみてください。

シリアスゲームの学術的な効果測定

この九州大学シリアスゲームプロジェクトを主導する松隈浩之先生(九州大学大学院芸術工学研究院・准教授)らの論文から、以下、引用します(太字はKAIGO LABによる)。

シリアスゲームの使用によって、不安・抑うつ度が減少することがわかった。身体的活動量はシリアスゲームの有無による違いは無かった。

二つ目の実験では、健康な男子大学生 18名を対象に、他者がシリアスゲームを使って起立-着席訓練を行っている姿を観察している時の影響を脳波によって調べた。その結果、シリアスゲームの条件で観察者の後頭葉と頭頂葉の脳活動が高まることが分かった。

以上の二つの実験結果より、リハビリ訓練用に開発されたシリアスゲームが利用者の気分の改善に有効であること、リハビリ訓練を行っている他者の観察においてシリアスゲームは観察者の脳活動が高めることが明らかになった。

こうした結果から、シリアスゲームには、少なくともメンタルヘルス上の意味と、脳を活性化させる意味があることがわかっています。もう少しすれば、楽しみながら、うつ病や認知症の予防ができるようなゲームが簡単に手に入るようになるかもしれません。

今後も、松隈先生らに注目したい

九州大学シリアスゲームプロジェクトは、こうした、リハビリ専用のゲーム研究を多数進めています。ゲームは、TVゲーム的なものから、太極拳を応用したものまで、幅も広いです。

もちろん、シリアスゲームには、民間の開発者もいます。ただ、こうした基礎研究段階では、民間は短期的な収益のために開発のターゲットを絞り込む傾向があるため、やはり、大学に期待したいところです。

実は、シリアスゲームの開発は、アメリカでも進んでいます。アメリカよりも、日本のほうがずっと高齢化が進んでいるので、なんとか、日本の研究者たちに頑張ってもらいたいところです。

※参考文献
・藤本徹, 『シリアスゲーム 教育・社会に役立つデジタルゲーム』, 東京電機大学出版局(2007年)
・樋口重和, 松隈浩之, et al., 『リハビリ訓練を支援するシリアスゲームの科学的な効果検証』
・松隈浩之, et al., 『超高齢化社会におけるリハビリ用シリアスゲームの意義(<特集>サービスとしてのゲーム)』, 体力科学 63(5), 469-473, 2014年
 

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