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電動アシスト自転車は便利ですが・・・高齢者の死亡事故が増えていきそうです

電動アシスト自転車は便利ですが・・・高齢者の死亡事故が増えていきそうです

免許返納の影で増える電動アシスト自転車

電動アシスト自転車は、この社会に完全に定着しました。街でみかける自転車はもちろん、便利なシェア自転車も、電動アシスト化しています。特に免許返納を終わらせている高齢者にとって、この電動アシスト自転車は、自動車を運転しなくなっても、社会との接点が維持できるという希望です。

同時に、他人が運転している電動アシスト自転車を怖いと感じる人も増えているはずです。電動アシスト自転車は、まだ宿命的に重さがあり、直進性は高くても、曲がったり止まったりするところに、通常の自転車とは異なるスキルが求められ、それに慣れていない運転者も多いからです。

あの重量感で、あの速度でぶつかられたら、小さな子供であれば簡単に命を落とすように感じられます。現在の電動アシスト自転車はシェアを伸ばしているところですから、こうした危険に感じられるケースが増えているのも仕方のないことかもしれません。ただ、なんらかの対策が求められるのは、間違いありません。

電動アシスト自転車の死亡事故が・・・

そうした中、電動アシスト自転車による死亡事故が増えそうだというニュースが入ってきました。予想できることとはいえ、非常に残念です。以下、朝日新聞の記事(2018年11月15日)より、一部引用します。

電動アシスト自転車に乗車中の高齢者が、事故で死亡するケースが増えている。運転免許の返納後の新たな交通手段や、自転車の運転を体力的にあきらめた年齢層の新たな「足」としての利用が広まる。ただ、体力や判断力の低下を理解したうえで乗る必要がありそうだ。(中略)

愛知県内では今年、アシスト自転車の死亡事故が9件相次ぎ、いずれも高齢者が亡くなっている(11月14日現在)。愛知県警の幹部は「今まで自転車をあきらめていた高齢者層が、電動アシスト自転車なら乗れるようになっている」とみる。

あま市の石田敏一さんは1月、アシスト自転車で日課の喫茶店へ行く途中、出合い頭の事故で命を落とした。当時93歳。長男の富男さん(64)によると、足腰は丈夫だった。ただ、数年前に家族から車の運転を止められ、代わりにアシスト自転車に乗るようになった。「活動範囲も広くなる。一度乗ると普通の自転車には戻れないでしょう」(後略)

時間が解決してくれる問題だからこそ難しい

当然、電動アシスト自転車のメーカーは、こうした危険性を認識しています。いまこの瞬間も、技術者が、寝食をおしんで新技術の開発にはげんでいることでしょう。具体的には、センサー技術や自動制御技術、場合によってはエアバック的なものまで含めて、これから実用化されていきます。

世間一般からすれば、これは、時間が解決してくれる問題ということにもなります。しかしだからこそ、現在普及している電動アシスト自転車への対応をどうするのかといったことは、話題になりにくいわけです。「便利だし、これからもっと安全になるだろうから」という気持ちが、結果として、死亡事故にもつながります。

とはいえ、他の移動手段をもたない高齢者から、運転免許のみならず、電動アシスト自転車まで取り上げてしまうわけにもいきません。完全なる安全というものが存在しない以上、どこかで、リスクを飲むことは、そもそも人生の定義のようなものです。ただ、少しでも悲しい事故を減らすために、できることを考える必要もあります。

ワンペダルが普及しない問題に似ている

自動車による交通事故は、総量としては減少しています。しかし、アクセルとブレーキの踏み間違いによる事故件数は、むしろ増えていたりもします。これはそもそも、アクセルとブレーキの操作は同じであり、かつ、それぞれに隣り合わせという間違いやすい状態にあるという設計エラーに起因するものです。

この問題を一発で解決してしまうワンペダルという発想があります。しかし残念なことに、これがマスコミで大きく取り上げられることもありませんし、一般への普及はまったく進んでいないと言っても過言ではありません。この背景には、すでに普及しているものを変えるのが面倒というだけの話でしょう。

ただ、この面倒というのが、一番タチが悪いのです。客観的にみていかに優れているかをロジカルに説明しても、面倒という気分ひとつで、そうした優れた価値は普及していかないのです。電動アシスト自転車もまた、古くて危険な既存のものがいつまでも使用されることが、実はもっとも怖い話なのかもしれません。

※参考文献
・朝日新聞, 『気軽に行動できるけど…高齢者の電動自転車、死亡事故増』, 2018年11月15日

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