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運転サポート機能を搭載した自動車の普及について

運転サポート機能を搭載した自動車の普及について

自動運転はまだ遠い・・・

高齢者による運転事故は、大きな社会問題になっています。今年発生してしまった前橋での事故など、危険は誰の身にも起こり得る状態が続いています。こうした背景から、自動運転技術の開発と普及が切望されているのが現状でしょう。

しかし、自動運転が普及するには、まだ10年単位での時間が必要でしょう。その間にも、高齢者による運転事故のリスクは、高まることはあっても、なかなか下がることはなさそうです。メーカー各社は、これに対して、安全技術の向上という方向で対応しようとしています。以下、YOMIURI ONLINEの記事(2018年4月21日)より一部引用します。

自動ブレーキやペダルの踏み間違いによる誤発進を防ぐ装置を備えた「安全運転サポート車」の普及に向けた県警や自治体の取り組みが活発になっている。県警は今月、自動車関係団体と普及促進の協定も締結。増加の一途をたどる高齢運転者の事故防止の切り札にしたい考えだ。(中略)

県警は、昨年4月に警察庁が各都道府県警にサポート車の普及啓発を推進するよう通達を出したことを受け、各地でこうした体験試乗会を実施している。12日には、販売業者や自動車教習所の協会など、県内の自動車関係5団体と普及活動を進める協定も締結した。(後略)

安全技術の開発は、自動運転技術とはかなり異なる

安全技術を向上させれば、それがそのまま自動運転につながるのかというと、そうでもないところが困難なのです。安全技術は、人間が運転することを前提としており、人間について理解するというプロセスが避け難く発生します。これに対して自動運転は、そもそも人間が運転しないので、その点が(ほとんど)必要ありません。

安全技術は、運転する人間の状態を検知しないとなりません。運転中に、運転する人間が意識不明になったり、挙動がおかしくなったりした場合、それを検知して安全に自動車を停止させる必要があるからです。自動運転の場合、極端には、中にいる人間の観察は必要ありません。それは別の健康機器メーカーなどに任せればよいからです。

自動車メーカーが、自動運転を開発しながらも、こうした安全技術にも同時に投資できるのかというと、簡単ではなさそうです。100年後の未来から逆算すれば、自動運転で決まりだと考えられます。しかし、今後20年といったレベルでの未来もまた重要なのです。自動車メーカーとしては、非常に悩ましいところだと思います。

ベンチャーの選択は限られているからこそ

ベンチャーの立場になると、ここには異なる明白な解答があります。ベンチャーとしては、近未来で勝負しても、大企業には勝てないわけですから、もはや自動運転にかけるしかないのです。大企業が人間を観察する安全技術に投資をしている横で、ベンチャーは、自動運転に集中するでしょう。

心配なのは、自動運転が、予想よりも早く実現することです。それによって、多くの命は救われるでしょうが、日本の自動車産業は、大きな打撃を受けることになるでしょう。日本において自動車産業は、国を支える基幹産業でもあります。周辺産業もあわせて、巨大な雇用を生み出しているのです。

本当に安全技術という方向でよいのかどうか、その選択を誤れば、日本が傾くほどのインパクトがあります。交通事故による死傷者が減ることも重要ですが、雇用を生み出すことで間接的に人命を救うという発想もまた大切だと思います。

※参考文献
・YOMIURI ONLINE, 『高齢者事故減へ…安全サポート車後押し』, 2018年4月21日

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