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自動運転がやってくる!この9月からの実証実験と法整備の問題について

自動運転がやってくる!過疎地において、この9月から実証実験へ

高齢者の運転問題

様々な身体能力が衰えていく高齢者が、自動車を運転している状態は、自動車の凶器性を考えると良くないことでしょう。これには(1)高齢者が運転しなくても生きられる社会を築くこと(2)自動車の凶器性を減らすこと、という2つのアプローチがあります。

この2つのアプローチは、それぞれ個別に発展してきました。それが今、自動運転技術の登場とともに融合されようとしています。KAIGO LAB でも、そんな自動運転について、これまで多くの記事にしてきました

自動運転は、世界でも高齢化がもっとも進んでいる日本でこそ、発展していくべき技術です。そうした中、いよいよ、買い物難民が生まれやすい過疎地において、規模の大きな実証実験がスタートします。以下、共同通信の記事(2017年8月26日)より、一部引用します。

公共交通機関が乏しい過疎地の住民の足を確保しようと、国土交通省は「道の駅」などを拠点に、自動運転車の実証実験を9月からスタートする。ドライバーがいない自動運転車に住民を乗せるほか、農産物など荷物を運ぶ実験も行う。(中略)実験は9月2~9日の栃木県栃木市を皮切りに、全国の計13カ所で今秋中に実施。フランス企業製の小型バスタイプの電気自動車「ロボットシャトル」など計4種類の車両を使用する。

自動運転を実現する法整備の問題

もはや、自動運転を実現するために、技術的な問題は解消されつつあると言ってしまってよい状況です。それでもなお、自動運転を実現するのにクリアしなければならない大きな問題があります。それは、各種法整備の問題です。

1. 道路交通法上の問題

自動運転は、事故を減らすことにつながるのは間違いありません。しかし、自動運転と言えども、事故はゼロにはなりません。また、自動運転ならではの事故も発生していくことでしょう。安全を守る警視庁としては、ただ事故が減らせるというだけでは、ゴーサインを出せないのは当然のことです。ですから、ここにはまず、道路交通法上の問題が存在しています。たとえば、法定速度の遵守は当然のことなのですが、高速道路への乗り入れ時などは、実際には、一時的な速度超過が必要という声もあります。将来的には、自動運転の車を運転するのに運転免許が必要かという議論も解決しないとなりません。運転免許をもたない高齢者を無視することはできないからです。

2. 刑法上の問題

自動運転の車が事故を起こした場合、その責任は誰にあると言えるのでしょう。これが100%メーカーの責任となった場合、自動運転の車は、超高額な保険料を上乗せされた状態でないと販売できなくなります。結果として、せっかくの自動運転が、富裕層のためだけのものにもなりかねません。また、ここには「トロッコ問題」として有名な問題も横たわっています。これは、どうしても事故が回避できない場合、誰を犠牲にするのかという判断に関するものです。この判断は、自動運転の車に搭載される人工知能(AI)が行うことになりますが、それにもかかわらず、その人工知能を作ったメーカーに責任が発生しないというアクロバットが可能なのでしょうか。難題です。

3. 民法上の問題

アメリカでは、自動運転の車で、運転手の死亡事故が発生しています(2016年5月7日)。この事故の場合、強い日差しによって、カメラが正常に作動しなかったことが原因と主張されています。自動車による事故の9割は、運転者のミスによるものです。ですから、自動運転が普及すれば、事故は減ります。同時に、人間の運転者であれば回避できたことが、自動運転では回避できないという可能性も残されています。ここの証明は難しいのですが、遺族がメーカーを民法によって訴える可能性は十分にあります。将来的には、判例法として、それが積み上がり、基準もできていくでしょう。しかし、普及時には、判例もまた足りていないという状況が予想されます。

※参考文献
・共同通信, 『9月から過疎地で自動運転実験』, 2017年8月26日
・小林 正啓, 『自動運転車の実現に向けた法制度上の課題』, 情報管理, Vol.60, No.4, p.240-250, 2017年

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