閉じる

コミュニケーション・ロボットの需要が急拡大?数年以内に100億円規模の市場へ

コミュニケーション・ロボットの需要が急拡大?数年以内に100億円規模の市場へ

日本における社会的孤立の状況

日本の社会福祉において「つながり」が注目されたのは、厚生労働省が発表した『社会的な援護を要する人々に対する社会福祉のあり方検討委員会報告書』(2000年)だと言われています(後藤, 2009年)。

この時点で、人と人の「つながり」が形成されにくい社会になりつつあることが認識されたのです。その結果生まれてしまう社会的孤立が、様々な社会課題の原因になっているということへの理解が深まってきたという背景があります。

2005年のやや古いデータになってしまうのですが、国際社会における社会的孤立の状況の比較(社会実情データ図録)によれば、日本は、OECD諸国の中で、これが最悪の数字になっているのです。ここからも、社会的孤立は、日本にとって早急な対策の必要な課題であることがわかります。

なお、社会的孤立とは、家族や友人、地域コミュニティーなどとの接触が極端に少なくなっている客観的な状態を示す言葉です。これに対して孤独とは、より主観的な概念です。ですから、社会的孤立があるからといって孤独とは限らないし、逆に社会的孤立がなくても孤独かもしれないというところには注意が必要です。

コミュニケーション・ロボットの可能性について

社会的孤立の改善は難しいから、まずは孤独からアプローチしようとしているのが、Pepper(2014年)に代表されるようなコミュニケーション・ロボットです。人間ではなく、ロボットで対応するというのは、すこし寂しい気もします。しかしこれが、結果として、孤独を減らすのであれば、よいことです。

2015年度は、そんなコミュニケーション・ロボットの国内市場規模は23億8500万円だったそうです。これが2020年度には、87億4000万円になるといいます(MONOist, 2017年)。それだけ、市場がコミュニケーション・ロボットを受け入れ始めている(孤独を減らすのに効果がある)ということなのでしょう。

2020年度で87億円ですから、100億円を突破するのもすぐでしょう。そうなってくると、人間の孤独についてのデータが集まり、それがデータ解析の対象になってきます。ここで、なによりもすごいのは、孤独のような主観的な感情が、データ解析によって、客観的に把握できるようになるということです。

社会的には孤立していても、ロボットがあれば、孤独がなくなるのかもしれません。それが大きな視点からみて正しいことかどうかには、疑問もあります。同時に、これによって、認知症に苦しむ人とのコミュニケーションなどが改善するといった期待があることも事実でしょう。

テクノロジーが攻め込めない領域

こうして、ロボットが介護の現場に入ってくることについては、賛否両論があると思います。ただ、介護職のような社会福祉の領域においては、テクノロジーによって仕事が奪われる確率は高くないというレポートもあります。むしろ、社会福祉の世界には、ロボットと協働しながら、ロボットには成果が出せない領域が理解できる環境があるということです。

今回の話でとりあげたコミュニケーション・ロボットも、人間のコミュニケーションの全てを代替してしまうわけではありません。特に、介護において引きこもりがちな高齢者を社会参加に向かわせるという「誘い出し」のプロセスなどは、ロボットには(まだ)困難なものになりそうです。

KAIGO LAB では、今後も、注目のトピックとして、広い意味での人工知能を追いかけていきます。また、以前から少し告知している、KAIGO LAB としての介護事業創造にも、人工知能が関わってきます。これについての詳細のお知らせは、時期がきたら、こちらで行う予定です。

※参考文献
・後藤 広史, 『社会福祉援助課題としての「社会的孤立」』, 東洋大学/福祉社会開発研究2号, 2009年3月
・社会実情データ図録, 『社会的孤立の状況(OECD諸国の比較)』
・MONOist, 『コミュニケーションロボット市場は2020年に87億円へ、介護需要と東京五輪で拡大』, 2017年04月11日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

PR