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電気味覚フォーク、高血圧の人にも塩辛い食事を!

電気味覚フォーク

電気味覚フォークが、人間の味覚をハックする!

特定の電流を流すことによって、実際には塩味のついていない食事でも、塩味を感じることができる「電気味覚フォーク」が注目を集めています。これが製品化されたら、塩辛い食事が好きなのに、高血圧などの理由によって減塩を課せられている人が、もっと食事を楽しめるようになります。

電流を流すということで、怖いイメージもあるかもしれませんが、人体には影響のないレベルの小さな電流です。実際には、しっかりとした塩味を感じるだけでなく、炭酸を飲んでいるときのような感覚もあるようです。

世界では、25歳以上の3人に1人は高血圧と言われます。この主な原因は、塩分の取りすぎにあります。それでも、日本食は、味噌と醤油に依存しており、塩分は欠かせません。ラーメン、お漬物、寿司、お刺身、鍋・・・塩味が大事です。

今のところは「電気味覚フォーク」は、日本よりもむしろ、海外で話題になっているようです。以下、海外で紹介されたドキュメント動画(日本語字幕つき)になります。25万回以上再生されており、引きつけている関心の高さがうかがえます。

電気味覚フォークの商品化が進んでいます!

「電気味覚フォーク」は、現在「高血圧の患者さんに、塩分の効いた食事を楽しむ喜びを」というスローガンのもとに、実用化が進んでいます。

先のドキュメンド動画では、まだ開発段階の不恰好な「電気味覚フォーク」が登場しています。しかし、このフォークの製造は、普通のフォークに2,000円程度のコストを乗せるだけで可能だそうです。もちろん、ここには利益も乗りますから、もう少し高くなるでしょうが、ひどく高価なものにはならないでしょう。

現在、この「電気味覚フォーク」の実用化は、ジェイ・ウォルター・トンプソン・ジャパン(広告会社)が手がけているようです。日本人が開発したデバイスなのに、日本企業が上手にからめていないのは残念です。

とはいえ、とにかく高血圧に苦しんでいる人にとっては、早い実用化が求められます。そして、減塩を余儀なくされている人々が、大好きだった塩辛い日本食を楽しめる日が来ることを願っています。

電気味覚フォークは、まったく新しい可能性を秘めている

実用化という意味では、まずは高血圧に苦しむ人々へのソリューションというところから入るのでしょう。しかし、人間の味覚に対して、電気によって味付けをするという発想には、もっと大きな可能性があります。

開発者である中村裕美氏(東京大学)は、先の動画の中で「テイスト・クラウド」という発想に触れています。電気信号によって味付けができるなら、その信号パターンは、オンラインで、多くの人々の間での交換が可能になります。

これが実現すれば、無味乾燥なクラッカーのような食事にも、一流シェフによる味付けをすることができます。豆腐ダイエットを強いられるような生活でも、最高に美味しい食事が楽しめるでしょう。チョコレートを我慢している人も、チョコレート以外のものにチョコレートの味をつけることで、思う存分、チョコレートを堪能できるのです。

要するに、食材は健康にだけ気を使って準備しつつ、その味付けは「テイスト・クラウド」からダウンロードする未来が開けるかもしれないということです。

さらに、なんと現時点でも、音楽編集ソフトで、味の調整ができるというのです。こうなると「テイスト・クラウド」には、まだ世界には実在しない、まったく新しい味付けがアップロードされる可能性も高まってきます。その先にあるのは「テイスト・アーティスト」という、これまたまったく新しい職種かもしれません。

「電気味覚フォーク」の開発者である中村氏は、実は、もともとは美術を専攻しており、図画とクラシック音楽を学んでいたそうです。工学への転向は、数学とコンピュータ科学を融合させたメディア・アーツという分野に出会ったことが原因でした。

イノベーションは、異なる分野の融合によって起こると言います。食べることとアートの融合には、まだまだ多くの可能性が隠れているような気がします。とても楽しみですね。

※参考文献
・日経デジタルヘルス, 『高血圧患者の食生活に革命、「電気味覚フォーク」で塩味を』, 2016年3月25日

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