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高齢者の栄養状態、しっかり把握していますか?

高齢者の栄養状態

「ちゃんと食べている」とは言うけれど・・・

高齢者も、自分の健康を気遣って、意外と、運動はしていたりします。しかし食事は、自分の好みが中心で、栄養バランスなどは無視というケースが散見されます。介護のプロから聞いたところによれば、実際に、要介護者の食事は、介護のプロでも盲点になりやすいとのことでした。

「ちゃんと食べてる?」と聞けば、大概の高齢者は「ちゃんと食べている」と答えます。しかし、この「ちゃんと」という部分の中身に関しては、あまり気にされることが無いというところが、重要なポイントです。

日本の食生活は、スーパーやコンビニの充実を受けて、とても便利になっています。しかし、便利だとはいえ、何を食べるかの選択は、本人にあります。色々なお弁当、お惣菜があっても、ついつい、好みのものを集中的に食べてしまったりもします。

介護施設に入所していれば、栄養士がいて、しっかりと栄養面にまで気を配ってもらえます。しかし、在宅介護においては、どうしても、食生活がおかしなことになりやすいのです。

「低栄養」になっていないか、注意する必要がある

加齢にともなって、食欲が低下したり、噛む力が弱まったり、味覚が低下して味の濃いものを好むようになったりします。結果として、栄養が偏りがちになり、さらには「低栄養」と呼ばれる危険な状態におちいったりもします。

親をみて「歳をとったな・・・」と感じるのは、だいたいが、痩せた身体を見るときではないでしょうか。そこで思考を止まらせるのではなくて、栄養状態が大丈夫かどうかを疑う必要があるのです。

健康にとって「肥満」はよくありません。しかし「肥満」よりも「低栄養」のほうが死亡率が高いという事実は、意外と知られていないと思います。
特に「低栄養」を疑うべきなのは、手術後、呼吸器系の病気を持っている人、糖尿病などで食事制限のある人、食べ物の好き嫌いが激しい人です。

「低栄養」になると、身体が痩せてくるだけでなく、筋力が低下して歩行速度が遅くなったり、風邪をひきやすくなったりします。これを放っておくと、要介護状態になるのはもちろん、寝たきりの状態にまで至ってしまうこともあります。

「肥満」よりも「低栄養」のほうが怖い可能性もある

専門的には、タンパク質・エネルギーの「低栄養」が大きな問題となっており、これを特に PEM(protein energy malnutrition)と言います。もちろん、高齢者の食生活はそれぞれに異なるので、栄養士などに相談して、最適な食生活を考えることが一番です。

とはいえ、少なくとも気にしてもらいたいのは「動物性タンパク質(肉、卵など)」の摂取です。高齢者の間では、よく「魚はよいが、肉は避けたほうがよい」と言われますが、これは極端です。

今では、魚だけでなく、肉を多く摂取している高齢者のほうが、老化の速度が遅く、病気になりにくいということがわかってきています。「ちゃんと食べている」と言われても「動物性タンパク質」も摂取しているかどうかは、最低限、確認しておきましょう。

その上で、面倒だと思っても、ときには栄養士に相談することも忘れないでください。親が要介護者の場合は、ケアマネに相談すれば、栄養士も紹介してくれるはずです。不安があれば、プロのアドバイスを受けることが大事です。

※参考文献
・公益財団法人長寿科学振興財団, 『低栄養 高齢者の食事は栄養不足になりやすい』
・田辺生子, 井上智代, 『要支援高齢者の食行動の現状と影響を及ぼす内容についての質的分析』, 日本保健福祉学会誌 21(1), 45-56, 2014-09-20

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