閉じる

高齢者の孤食;ひとりぼっちの食事が生み出す様々なリスク(ニュースを超えて)

高齢者の孤食

高齢者の孤食リスク(ニュースになったけれど・・・)

つい先週、共同通信のニュースを受けて、メディア各社が、高齢者の孤食(ひとりで食べること)が「うつ病」のリスクを高めることが報告されました。

共同通信:高齢者の孤食にうつの危険 独居男性は2.7倍(2015年10月27日)

独りで食事をすることが多い「孤食」の高齢者は、一緒に食事をする人がいる高齢者に比べてうつになりやすいとの研究結果を、東京大の谷友香子研究員(栄養疫学)らの研究チームが27日までに発表した。独り暮らしの場合、女性の孤食はうつの可能性が1.4倍、男性は2.7倍にもなった。

この調査結果は、学問的には意味がありますが、介護のプロの間では長く噂されてきたことでした。先行研究としても、孤食の高齢者のほうが摂取する栄養が少なくて死亡リスクが高いことや、食べるものの多様性が小さくて糖尿病やうつ病リスクが高くなることが知られていました。

今回のニュースは、孤食とうつ病が直接的に関係していることを明らかにした意味はあります。しかし、それは孤食では食べるものの多様性が小さいこと(咀嚼能力が低下すること)と、うつ病の関係が知られていたので、印象としては「そうだろうな」というものでした。

人間とは共食をする動物である

「人間とは共食をする動物である」という言葉は、国立民族学博物館・名誉教授の石毛直道氏によるものです。みんなで集まって食事をすること(共食)は、古くから世界中で共通する、人間特有の行動なのです。

しかし、高知県のある町の調査(2009年)によれば、高齢者 856人中の284人(33.2%)が孤食だったそうです。さらに同調査では、同居している高齢者でも、19.5%が孤食だったそうです。高知の結果をもって、全国と言い切ることはできませんが、それでも大事なデータです。

ここから、孤食がよくないのは事実ですが、それは、家族が同居していても簡単なことではないという問題が見えてきます。介護食が必要だと、それだけ他の家族とは別に作る必要が出てきます。そうなると、時間差ができてしまい、孤食になる可能性もあるでしょう。

結局、給食のようにして、デイサービス(通所)で高齢者が集まって、昔話に花を咲かせたりしながら、共食をするのがよいのだと思います。しかし、それも毎日となると、大変でしょう。なかなか解の見えない問題です。

※参考文献
・木村友美(京都大学東南アジア研究所), 『高齢期に適切な食事摂取とは-食多様性に注目したフィールド調査からの考察-』, WKCフォーラム(2014年10月1日)
 

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

PR