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介護食市場における競争が激化しつつある(交渉力シフト)

介護食市場における競争が激化しつつある

立ち上がる介護食市場

高齢者になると、様々な持病を抱えながら生きるのが普通です。そうした持病によっては、たとえば、糖尿病に合わせた食材の選択などが必要になり、献立を考えたり調理をしたりする手間が増します。さらにここには、できれば、火を使った調理は避けたいという高齢者ならではの事情もあったりします。

高齢化社会が本格化した今、自宅での調理というものが重くなってきています。さらに、これから高齢者になる人々は、飽食の時代を生きてきたという背景もあります。質素な食事では、そうそう満足しない舌の肥えた人々なのです。

ここに、介護食の市場が大きく成長する理由もあります。これまでは、介護食というと、既存の食事を柔らかく、飲み込みやすくしただけのものが多かったのです。しかしこれからは、高齢者の味覚に合わせた食事を、ゼロベースで考えて生み出さないと、競争に勝ち残れなくなっていくでしょう。

スーパー大手が本腰を入れつつある

そうした中、スーパー大手が、前年度比10倍といった目標を立てて、介護食に参入というニュースが入ってきました。以下、NEWSポストセブンの記事(2017年11月19日)より、一部引用します。

(前略)イオンは今年プライベートブランドで扱う介護食の品ぞろえを強化している。これまで20品目程度だったラインナップを、2018年2月期に40品目と倍増させる。イオンのような大型店では専用売り場を設営、小規模店舗の「まいばすけっと」での販売も視野に入れているという。ドラッグストアなどへの流通も強化し、販売額も前年度比1000%の10億円を目標としている。

介護用品売り場「あんしんサポート」を店舗で展開する、イトーヨーカ堂も介護食に力を入れる。これまで「あんしんサポート」で扱っていた介護食を食品売り場にも展開。昨年末から一部店舗の食品売場では介護食の棚を作っていたが、今後は全店の食品売場に介護食の棚の設置を目指すという。

在宅向けばかりではなく、医療・介護施設で提供される介護食にも変化が見える。牛丼の吉野家は事業所給食会社のエームサービスと組んで、同社が給食を提供する約100の事業所で具材のやわらかい牛丼「吉野家のやさしいごはん」を提供する。(後略)

最後は配食が鍵になる

食品メーカーは、十分な数があります。また、食品メーカーの、介護食の開発力にも疑問はありません。そうなると、介護食を作る側には(ほとんど)問題がないことになります。残されているのは、売る側です。

これまでは、店舗にやってきた顧客に対して商品を売るという方法が主流でした。実際には、店舗というのはコストがかかり、そうそう誰でも持てるものではありませんでした。そのため、店舗をもっているところが、食品メーカーに対して、大きな交渉力(bargaining power)を得てきたわけです。

しかしこれからは、店舗の力は弱くなっていきます。なぜなら、高齢者は、現役世代ほどには、買い物のために店舗まで足を運ばなくなるからです。ここには新たな競争が生まれます。すなわち、食品を顧客のところまでもって行くという配食の力です。

配食を握ったところが、食品メーカーと直接交渉をすることで、新たな交渉力を得ていくのは明らかです。これに危機感を抱いているからこそ、いま、スーパー大手は焦って介護食に力を入れ始めているのでしょう。そしてこの配食のところを、Google や Amazon に握られないことを祈るばかりです。

※参考文献
・NEWSポストセブン, 『介護食市場拡大へ イオン、明治、吉野家ら大企業も続々参入』, 2017年11月19日

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