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介護福祉士を養成する学校の教育到達目標(11項目)がすごい。

介護福祉士の到達目標(11項目)

介護福祉士教育の到達目標がすごい!

介護需要に対応するため、日本では、1987年に、介護の専門職である介護福祉士の資格(国家資格)が創設されました。これにともない、介護福祉士を養成するための教育が整備され、資格試験も毎年行われています。

介護福祉士の登録者数は2014年の時点で110万人を超えています。このうちの7割は、実務経験をもって資格試験を突破した人々です。残りの3割は、介護福祉士を養成する学校にて、その必要となる専門性を体系的に習得した上で、資格試験に合格した人々です。

学校における介護福祉士の教育は、厚生労働省が定めた、以下の到達目標(11項目)によって設計されています。これ、介護福祉士に求められる要件というよりも、すべての人にとって必要なことなんじゃないかと思います。

1. 他者に共感でき相手の立場に立って考えられる姿勢を身につける。
2. あらゆる介護場面に共通する基礎的な介護の知識・技術を習得する。
3. 介護実践の根拠を理解する。
4. 介護を必要とする人の潜在能力を引き出し、活用・発揮させることの意義について理解する。
5. 利用者本位のサービスを提供するために、多職種協働によるチームアプローチの必要性を理解できる。
6. 介護に関する社会保障の制度、施策について基本的理解ができる。
7. 他の職種の役割を理解し、チームに参画する能力を養う。
8. 利用者ができるだけなじみのある環境で日常的な生活が送れるよう、利用者ひとりひとりの生活している状況を把握し、自立支援に資するサービスを総合的、計画的に提供できる能力を身につける。
9. 円滑なコミュニケーションの取り方の基本を身につける。
10. 的確な記録・記述の方法を身につける。
11. 人権擁護の視点、職業倫理を身につける。

「海外部」を作ると、グローバル化から遠ざかるというジレンマ

ビジネスの世界では、グローバル化が叫ばれて久しいです。そうした中、よくある話として、グローバル化に対応しようと「海外部」といった海外取引の専門部署を作ると、グローバル化からかえって遠ざかるということがあります。

「海外部」を作ってしまうと、他の部署の人々は「海外の仕事は、海外部でしょ」という意識になってしまうからです。本当は、グローバル化を推進するのであれば、全従業員が、海外の仕事も、国内の仕事も、分け隔てなく対応できるようにならないといけないのです。

同じように、日本では介護福祉士のような「介護職」という介護の専門家を作ったがために、「介護は、介護のプロの仕事」といったイメージができてしまっている可能性があります。

本当は、先の介護福祉士の到達目標(11項目)は、介護の専門家としての「介護職」にだけ期待されることではなくて、要介護者の介護をする介護者(家族)であれば、誰もが目標とすべきところです。

そう考えると、私たちは、介護のプロに、こうしたことを「教えてもらう」必要もあるのだと思います。とはいえ「要介護者の家族に、11項目を効果的に教育する」というのは、介護福祉士の到達目標の中には入っていません。

また、こうしたことに介護保険が適用されることもなく、介護のプロとしても、介護する家族の教育が重要だと思っても、それを実行するための財源がありません。

私たちは、仕事もするけれど、子育ても介護もする

今の日本は、介護の責任を、要介護者の家族においています。ですから、介護のプロは、家族にとってはアウトソース先にすぎません。全てを丸投げすることはできないのです。

一つの考え方として、欧米のように、介護の責任を、家族ではなくて社会におくという方法があります。KAIGO LAB としても、それを一つの理想だと理解していますが、日本がすぐにそうした社会に変化するとは考えにくい状態です。

むしろ、介護保険の財源が足りなくなってきている今、日本の社会が、介護の責任を受けていくとは思えません。そうなると、私たちは、子育てと同じように、親や配偶者の介護もまた、自分の責任として実行していくしかありません。

そうしたとき、私たちの到達目標は、そのまま、介護福祉士の到達目標に重なってきます。グローバル化を目指す企業が「海外部」に海外の事業を任せられないように、私たちもまた「介護職」に介護のすべてを任せていくことができないのですから。

しっかりと、自分なりに、介護についての勉強を進めていきたいものですね。

※参考文献
・嶋田直美, 『介護福祉士養成教育の中心問題 -専門性の構築に向けて-』, 桃山学院大学社会学論集 48(2), 157-182, 2015-02-27

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