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空き家を介護施設に。政府方針(ニュースを考える)

空き家を介護施設に

日本の空き家問題について

空き家がもたらす問題点としては(1)景観の悪化(2)防犯機能の低下(3)ゴミの不法投棄の誘発(4)火災発生リスクの上昇、などが知られています(国土交通省による2009年調査結果)。こうした問題から、空き家があると、周辺の地価も下がってしまうでしょう。

2008年の時点で日本の空き家率は13.1%でしたが、これが2028年の段階では23.7%にまで増加することが指摘されています。こうした空き家のうち、腐食・破損している住宅の割合は、23.9%(2008年)となっています。8割ちかい空き家は(水回りなどの手直しは必要でしょうが)まだまだ住めるということです。

過去には、空き家とはいえ、所有者がいるので、その撤去や再利用などは簡単ではありませんでした。しかし、増え続ける空き家問題への対応として、日本の各地で条例が制定されつつあります。

一般的な条例の形としては、まず、空き家の管理責任を所有者にあるとします。その上で、市民から特定の空き家が管理責任を果たしていないという申し出があれば、自治体が調査を行い、持ち主に助言・指導・勧告することができます。それでも改善が見られない場合は、警察とも協議して、空き家を撤去することも可能になっています。

こうした対応は、あくまでも、周囲から苦情が来るレベルで腐食・破損している空き家に限られます。この点で、まだまだ、空き家問題の解決にはほど遠いと言われています。いずれは、フランスやアメリカ(ミシガン州)のように固定資産税の2〜3年の滞納にて所有権の喪失としたり、イギリスのように自治体が所有者に変わって物件管理と賃貸料金の徴収などを行えるようにしたり、といったことが必要になるでしょう。

空き家を介護施設に

政府は17日、将来の介護施設不足が懸念される首都圏を中心に、空き家を活用した在宅介護・医療のインフラを整備する方針を固めた。空き家を在宅介護対応住宅へ転用し、要介護者を24時間見守れるようICT(情報通信技術)を使った高度医療システムの導入も進める。(中略)

利用者が可能な限り自立した生活を送ることができるよう、介護する家族と長期間同居できるようにすることや、家族が介護に対応できない際の短期間の宿泊施設としての利用など、さまざまなニーズに対応できるよう整備していく。

産経ニュース(2016年1月18日)

むしろ、こうした空き家を活用した介護施設は「無届けの介護ハウス(違法)」として、すでに社会問題化しています。違法にもかかわらず、その入居費用の安さから、自治体や病院が、要介護者に紹介したりしているのが現実です。

しかし、無届けですから、防災面で不安があったり、そこでどのような介護が行われているのか行政が監視することもできません。こうした無届けの介護ハウスでの事件・事故も増えてきており、ここへの対策も必要でした。

今回の政府方針である「空き家を介護施設に」というものは、実質的に、無届けの介護ハウスに対して、行政指導を入れていくということも視野に入っているものと思われます。是非とも、成功させてもらいたいですね。

※参考文献
・産経ニュース, 『空き家を介護住宅に活用 首都圏などの施設不足解消へ 政府方針 高度医療システムも導入』, 2016年1月18日
・米山秀隆, 『空き家率の将来展望と空き家対策』, 富士通総研経済研究所(2012年)
・樋野公宏, 『空き家問題をめぐる状況を概括する』, 住宅(2013年)
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