閉じる

介護施設における介護職員のストレスに関して(メンター制度のすすめ)

介護職員のストレス

介護離職ゼロのためには、介護施設の拡充が求められます。このため、国は現在、介護施設の増設に動いていますが、根本的には、介護職員の確保のところにボトルネックがあります。新しい介護施設ができても、そこで働いてくれる介護職員がいないという懸念が大きいのです。介護職員の確保が難しい理由としては、介護職の待遇が悪いということが知られていますが、それ以外にも、介護の仕事には大きなストレスがあるという指摘があります。今回は、このストレスの原因と、ストレス解消の具体的な方法について、メンター制度を軸として考えてみました。

介護施設における介護職員のストレスはどうなっているのか?

まず、介護施設(特別養護老人ホーム)の介護職員のストレスは(S-1)介護職員聞のコミュニケーションの食い違い(S-2)介護職員と管理職員の思いの食い違い(S-3)自分の仕事ぶりがどう見られているかへの不安、の3つに分類できるようです。

そして、こうしたストレスを解消するためには(D-1)同僚との前向きな連携(D-2)施設における働きがい、の2つが機能していることが大事ということもわかっています。

これらの、介護施設における介護職員のストレスに関連するのは、結局のところ「コミュニケーション」の良し悪しだということがわかります。そして、これがうまくいっていないので、介護職員の離職が絶えないという指摘が多いのです。

介護職員間の「コミュニケーション」はなぜうまくいかないのか

介護職員間の「コミュニケーション」は、具体的には、職員間の日常会話や、仕事上の会議、飲み会といったところで発生しているでしょう。では、こうした介護職員間の「コミュニケーション」は、どこに難しさがあるのでしょうか。

(P-1)まず介護施設は、どこも、介護労働に対してギリギリの職員数で回っています。忙しいだけでなく、シフト(三交代制)勤務になっているので、そもそも同僚と会話をするチャンス自体が少ないことが予想されます。

(P-2)次に、介護においては、要介護者(利用者)1人に対して、複数の職員が関わるという形をとらざるを得ません。これは、医師1人が、複数の患者を担当して診るのと対照的です。結果、介護の現場では、要介護者に対してどのように接していくのかという介護方針を巡って、介護職員間での意見の食い違いが生まれやすい状況があるでしょう。

(P-3)また、管理職と介護職員の間に生まれる思いの食い違いも問題です。昨年、倒産件数が過去最高となった介護事業の、厳しい経営環境を乗り切るために、経営視点が強化されている管理職と、常に要介護者(利用者)中心で物事を考える介護職員との間には、想像以上に大きな「ミゾ」ができていると予想されます。

具体的に実施すべきこと

「コミュニケーション」には(1)業務を円滑に推進するための道具(2)人間関係を良好なものとする目的、の2つの意味があります。不足しがちなのは、後者の、人間関係を構築する目的としての「コミュニケーション」でしょう。

もちろん、ITなどを使って、業務に関する意識統一などを行うシステムを作ることも必要です。しかし、そうしたドライな業務に関する「コミュニケーション」を活性化するよりも、お互いの背景や価値観などを理解するためのウェットな「コミュニケーション」のほうが大事です。

具体的には、経験の浅い若手の相談を、シニア人材が受け付けるといった「メンター制度」に期待したいです。「メンター制度」がうまく機能すると、業務に関することだけでなく、個人的な話にも少しずつ踏み込んでいくような流れができるからです。

小説、映画、ゲームなど、およそ人間にとってエンターテインメントと言えるもは、全て、主人公の成長を扱っています(=ヒーローズジャーニー;神話の法則)。成長こそ、人間が生きる糧であり、働きがいの根源です。

「メンター制度」を通して「コミュニケーション」を活性化するだけでなく、介護職員の成長も生み出せれば、先にストレスの解消として取り上げた(D-1)同僚との前向きな連携(D-2)施設における働きがい、のどちらも満たされる可能性があります。

しっかりとした理念や目標も大事ですが、それ以前に、良好な人間関係の構築がどうしても必要なのです。

まとめ

・介護離職ゼロを実現するには、介護の仕事における大きなストレスを解決する必要がある
・介護施設における介護職員のストレスは「コミュニケーション」によって解消できる
・しかし介護施設特有の環境が「コミュニケーション」を困難なものにしている
・ドライな業務推進より、ウェットな人間関係構築の「コミュニケーション」活性化が必要
・そのためには「メンター制度」の導入と運用に効果があると考えられる

※参考文献
・伊東秀章, 『介護老人福祉施設における介護職員の日常的なストレスとその対応』, 龍谷大学大学院文学研究科紀要 36(2014年)
 

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト