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その老人ホームは、本当に終の住処になるか?

その老人ホームは、本当に終の住処になるか?

老人ホームの入居一時金は残っているか?

老人ホームは、入居するときに、数百万〜数千万円の入居一時金が必要になることが多くなっています。この入居一時金は、使用しなかった分が後に返却されることになっているのですが、この返却がきちんとなされるのか、かなり不安です。

老人ホームに限らず、介護事業者の多くが赤字経営に苦しんでいます。赤字で、金策が尽きてしまった場合、介護事業者の経営者は、預かっている入居一時金に手をつけてしまう可能性があるからです。

ある老人ホームにおいて、そんな不安が現実となってしまいました。37施設もの老人ホームを経営している介護事業者に、入居一時金が残っていないというのです。以下、SankeiBizの記事(2018年12月23日)より、一部引用します。

首都圏で有料老人ホーム「未来倶楽部(くらぶ)」など37施設を運営する未来設計(東京)で、入居者から預かった「入居一時金」の大半が消失していたことが、同社を買収した企業の調査でわかった。帳簿上、38億円余残っているはずの一時金が12億円余しかなかった。入居者の遺族らに残った一時金をすぐに返還できないなどの影響が出ており、金融機関に支援を求めている。

37施設には計2千人近いお年寄りが生活し、介護職員ら約1600人が働く。未来設計の財務部長が、同社の持ち株会社を今年7月に買収した同業の「創生事業団」(福岡市)に内部告発して発覚したという。財務部長によると、未来設計の創業者の女性(70)の指示で、入居一時金を一括で売上高に計上して役員報酬などに使い、赤字経営の実態を黒字に見せかけていたという。(後略)

今回のケースでは買収があって助かっている

今回のケースでは、入居一時金に手をつけていたことが、買収によって発覚しています。38億円あるはずのお金が、12億円しか残っていなかったという話なわけですが、とにかく、12億円残っていることと、次の経営者が決まっていることは不幸中の幸いです。

もし買収がなければ、このまま残りの12億円も消え去り、さらに、次の経営者も決まらないという可能性もあったわけです。その場合は、急に、介護事業者は倒産することになり、そこに入居している高齢者はもちろん、そこで働く人もまた大変なことになります。

非常に不安なのは、今回のケースは、例外なのか、氷山の一角なのかという部分です。これを機に、日本全国の老人ホーム(2016年時点で12,000施設以上)を調査しないとならないのは当然として、その結果がどうなるか、とても気になります。

当然ですが、老人ホームとはいえ、民間の企業が運営しています。その企業が倒産してしまえば、次の引き継ぎ先がない場合、入居者はそこにはいられなくなります。そのときに、入居一時金も使い込まれていたら、次の老人ホームに入居するためのお金がないという可能性もあるわけです。

老人ホームに頼らない介護を考える必要もある

老人ホームへの入居は、お金さえあれば、介護をする家族からすれば、負担が軽くなる選択です。入居するところも、きちんと選べば、よい施設もあります。ただ、想定として、そうして入居している老人ホームが破綻するという可能性も検討しておくべきでしょう。

その場合は在宅介護になるわけですが、在宅介護であっても、上手に活用すれば、家族の負担をかなりの程度まで減らすことが可能です。難しいのは、老人ホームに入居するときに、もともと暮らしていた家は引き払っていることが多く、新たな家を探す必要があるという部分でしょう。

高齢者になると、家を貸してもらえないということも多く、結果として、親と同居しての介護が始まってしまう可能性もあります。親と同居しての介護では、使えなくなる介護サービスもあったりして、負担がどうしても上がってしまいます。

そこまで考えてみると、そもそも、老人ホームに親を入居させるということは、結構なリスクのある選択だということが見えてきます。せめて、もともと暮らしていた家がそのまま維持されていたりすれば良いのですが、金銭的に、そうしたことができる余裕のある人は少ないでしょう。

※参考文献
・朝日新聞, 『老人ホームの入居一時金、26億円消える 買収で発覚』, 2018年12月23日

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