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介護施設が急に頼れなくなるとき

介護施設が急に頼れなくなるとき

介護施設は、ある日突然、機能しなくなる可能性がある

介護施設は、24時間365日の介護を担ってくれるところです。一度入所すれば、いったんは安心と考える人も多いと思います。介護の基本的な知識を持たない人の場合、介護施設(老人ホーム)=介護という誤解をするほど、介護施設は介護のイメージとして定着しています。

そうした介護施設が、いま、日本中で揺れています。背景にあるのは、介護施設で働いている介護職(介護のプロ)が、複数人、急に退職するという事例が増えていることです。こうしたことは以前からありましたが、採用難の時代と重なったことで、こうした急な退職のリカバリーができなくなっているのです。

そもそも、介護職は足りていないのに、その待遇の改善は、遅々として進んでいません。待遇改善が進まないままに、介護現場には、安価な労働力としての外国人実習生が投入されつつあり、待遇改善への期待は、裏切られ続けています。そうした業界が、深刻な人手不足になるのは当たり前のことです。

自分自身の問題であることが広く認識されて欲しい

誰でもいずれは、自分自身や、自分の家族が、介護施設のお世話になる可能性があるでしょう。そうした介護施設で、急な大量退職が発生した場合、最悪のケースでは、命の危険にさらされることになります。薬の手配はもちろん、食事や排泄といった生活の基本的な支援が、急に、受けられなくなってしまうからです。

そうした状況の背景にあるのは、介護人材の人手不足です。人手不足のもっとも大きな要因は、全63業界中でも最悪と言われる介護業界の待遇の悪さです。人の命を預かる仕事なのに、コンビニのバイトよりも悪い、手取りで20万円にもならない待遇というのは、おかしな話です。

介護業界の待遇問題は、どこか関係のない業界の苦労話ではありません。介護は、私たちの日々の生活に関わる、電気、ガス、水道、インターネットと同じような社会インフラであることを忘れてはならないでしょう。社会インフラの整備には、それぞれが関心を持って関わっていかないとならないはずです。

自分の家族に介護が必要なのに介護職はいない未来

このままいけば、介護職の人手不足は、ますます深刻化します。自分や自分の家族に介護が必要になったとき、介護を支援してくれる介護職が、そもそも人手不足で存在しないとしたら、どうなるでしょう。そうなると、自分が、24時間365日の介護を担うことになるわけですが、可能でしょうか。

そうして、自分で介護をするしかなくなり、求職活動さえしなくなると、いわゆるミッシングワーカーとなります。こうしたミッシングワーカーは、いま、日本で100万人以上いるとされます。ミッシングワーカーは、もちろん、生活保護を受給することになるわけですが、その数が増えてくると、生活保護の支給額も下がっていくでしょう。

社会インフラとしての介護が、どんどん脆弱なものになってきています。業界として人材不足なので、その解決策は、他の業界からの転職に頼るしかありません。しかし一般論として、未経験の業界に、わざわざ待遇を悪化させてまで転職するという人は多くはありません。どうしても、介護職の待遇改善が必要なのです。

※参考文献
・日本経済新聞, 『職員大量退職で移送検討も 福岡の高齢者施設』, 2018年12月4日

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