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脱入院で、介護離職が増えてしまうのではないか?

脱入院で、介護離職が増えてしまうのではないか?

脱入院の流れが確実にやってくる?

入院には、多額の公費がかかります。日本の社会福祉財源が枯渇しつつある今、国が、入院の日数を減らしにかかることは当然の流れでしょう。以下、時事通信の記事(2018年2月7日)より、一部引用します(段落位置のみ、KAIGO LABにて修正)。

2018年度の診療・介護両報酬の改定案が7日、出そろった。重症患者向けの急性期病床が将来のニーズより多過ぎるため、病院に診療報酬を支払う要件を厳格化し、病床の再編を誘導。

入院の必要度が低い高齢患者の退院も促し、自宅や新設する「介護医療院」などで医療・介護サービスを受けてもらう。「脱入院」の流れを進め、医療費の膨張を抑えたい国の狙いに沿った形だ。

18年度は6年に1度の同時改定。これを機に厚生労働省は高齢者が住み慣れた場所で過ごす「地域包括ケア」を推進する。同省幹部は「医療費がかさむ入院から在宅への切り替えが進めば、団塊の世代が75歳以上となる25年以降の財政負担も抑えられる」と強調する。(後略)

退院できると判断される高齢者は・・・

ここで、退院できると判断される高齢者の多くは、在宅介護ということになるのでしょう。しかし、退院できるほどですから、そうした高齢者のうち、かなりの数の人は、軽度の要介護状態という可能性も高いと考えられます。

そして、軽度の要介護状態だと、本来は受けられるはずの介護サービスが受けられないという環境が出来つつあるのです。そうなると、介護離職として仕事をやめてでも、親の介護をしなければならない人が増えることが容易に想像できます。

ない袖は振れない(お金がなければ支援もできない)わけで、ここで国を非難しても仕方がないのかもしれません。ただ、介護離職が増えてしまうと、それだけ国の税収も下がるわけで、今回の報道にあるような脱入院の流れは、本当に悲惨な時代の象徴にもなりかねません。

介護医療院は本当に整備されるのだろうか

ここで、脱入院の受け入れ先として設置されるという介護医療院は、病院よりも運用のための公費がかからないという前提です。しかし経営側からすれば、これは、介護医療院は儲からないということになりかねません。病院でさえ、赤字のところが増えている今、本当に、十分な数の介護医療院に参入する事業者がいるのでしょうか。

十分な数の介護医療院をそろえるには、介護医療院の設計を、なんとか儲かる構造にしなければならないでしょう。ここで国として手をつけられるのは、患者あたりの専門職の数(すなわち人件費総額)しかないはずです。これは、より少ない専門職でも、より多くの患者を入居させられるという基準を作るということです。

そうなると、ある程度の安全は犠牲にしなければならなくなります。それも仕方のないことかもしれませんが、そうして安全基準を緩和するのであれば、無届けの介護ハウスを、国として正式に認定していくほうが現実的のように思われます。

いよいよ、本当に厳しい時代に突入します。国は、本音ではそうした認識を持っているはずです。問題は、世間がまだ、自分たちの将来が、これほどまでに悲惨なものになるという認識がなさそうだという部分です。この悲惨を逃げ切れる人は少数の富裕層だけです。本当に、それでよいのでしょうか。

※参考文献
・時事通信, 『「脱入院」後押し=医療費膨張抑制へ-18年度の診療報酬改定』, 2018年2月7日

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