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特養に入居できるのは(実質的には)要介護4以上?

特養に入居できるのは(実質的には)要介護4以上?

特別養護老人ホーム(特養)は大人気

特別養護老人ホーム(特養)は、自治体や社会福祉法人が運営している公的な老人ホームです。公的な老人ホームですから、税金が投入されており、安くて、品質の高いサービスが受けられます。公的な施設だからといって、質素なつくりではありません。もちろん施設にもよりますが、一般に想像される以上に豪華なものも多数あります。

民間の老人ホームは、だいたい、平均で月額25万円はかかります。これに対して、特養は月額10万円前後という価格なので、人気が殺到します。2014年の段階では、特養の入居待ちをしている要介護者が50万人を突破してしまいました。

この状態を重く見た政府は、2015年に、特養に入れるのは要介護3以上と限定をしました。結果として、入居待ちは36万人にまで減りました。しかしこれは、入居待ちの数字が減っただけで、現実には、要介護2以下の要介護者が、入居待ちさえできなくなっただけの話です。

特養は中重度の要介護者向け?

これは、特養の立ち位置を、中・重度の要介護者向けの施設として定義したということです。ただ、現実には、要介護3では特養には入れないということが指摘されています。以下、毎日新聞の記事(2017年5月5日)より、一部引用します。

特別養護老人ホームの約2割が要介護3の入所を見合わせていることが毎日新聞の全国アンケートでわかった。国は2015年に入所者を要介護3以上に制限したが、介護報酬の加算や要介護認定の不確かさを理由に施設側が受け入れを敬遠した形だ。(中略)

要介護3を「将来の退所の可能性を考慮して入所を見合わせる例があるか」との問いに66施設(18・4%)が「ある」と回答。うち6割程度が「次の認定で2以下に下がりそうなら見合わせる」(首都圏の施設)とした。

また国は、過去半年~1年の新規入所者に占める要介護4、5を7割以上にすれば介護報酬で高い加算をつけており、3割程度が「算定できなくなると厳しい」(九州の施設)ことも理由とした。

家族の介護負担は考慮されないのか?

要介護3という状態は、歩行や排泄が自分でできないようなレベルです。また、要介護1や2でも、認知症があり、徘徊してしまうようなケースも多数あります。このような状態の要介護者を、家族だけで在宅で介護するのは、かなりの負担です。これが独居や老老介護だと、命の危険さえあります。

もちろん、国の財源にも限りがあり、すべての要介護者を特養に入居させることはできません。また、要介護者にとって特養が理想的な環境とは限らず、場合によっては、在宅介護のほうが、要介護者にとってよいこともあります。

ただ、これだけ介護殺人や虐待が問題視される今、特養への入居が、実質的に要介護4と5だけというのは、本当に厳しいと思います。要介護3の介護をしている家族の気持ちになると「いっそ、悪化してもらいたい」と願ってしまっても仕方がないでしょう。

長年、お互いを愛し合ってきた人々が、なぜ、人生の最後に、これだけ痛めつけられないとならないのでしょう。非常に難しいことは理解できますが、そろそろ、公務員の人件費にも手をつけて、税金の使い道について本格的な議論を開始しないとならないはずです。

※参考文献
・毎日新聞, 『要介護3 受け入れ敬遠 特養、2割以上に空き』, 2017年5月5日

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