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サービス付き高齢者住宅(サ高住)の情報公開が介護施設並みに(ニュースを考える)

サービス付き高齢者住宅(サ高住)の情報公開が介護施設並みに

サ高住の情報公開がより詳細になる

国土交通省は今年度中に、サービス付き高齢者住宅(サ高住)に関する情報公開を、より詳しいものにする仕組みを作ると発表しました。具体的に公開されるのは、スタッフの体制や生活支援の詳細などで、これらがインターネットで閲覧できるようになります。以下、毎日新聞の記事(2016年9月26日)より、一部引用します。

国土交通省は、安否確認などのサービスのある「サービス付き高齢者向け住宅」(サ高住)に関し、今年度中にスタッフの体制や生活支援の詳細をインターネットで公表する仕組みを始める。

サ高住は賃貸住宅の位置づけだが、介護の必要な入居者が多い状況を踏まえ、介護施設並みの情報公開を事業者に求める。第三者による評価も公表する。急増するサ高住は質のばらつきが課題とされており、入居希望者に比較材料を提供する狙いがある。

そもそもサ高住は、賃貸住宅と同じような扱いで、あまり情報が出されていませんでした。しかし、間取りや料金体系などだけでは伝わらない、利用者にとって大事な情報はたくさんあります。実際のところ、施設のサービスの質にはかなりばらつきがあり、入居してからトラブルに発展するケースも少なくありません。

今回作られる仕組みでは、国交省が公開すべき情報の統一基準を設けます。利用者は入居前にしっかりと施設を選ぶことができ、業者側はより一層サービスの向上に力を入れることが期待されます。

改めてサ高住が作られた経緯を考える

日本では、諸外国に比べて、高齢者向けの住宅の割合が非常に少ないのが現状でした。また要介護度の低い高齢者でも、特別養護老人ホーム(特養)に入っていたという歴史があります(現在は、要介護度が低いと特養には申し込めない仕組みに変わっています)。

従来、自宅での生活が難しくなった高齢者は、有料老人ホームに住むか、国土交通省管轄の高齢者向け賃貸住宅三施設「高齢者円滑入居賃貸住宅(高円賃)」「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」「高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)」のどれかを利用することがほとんどでした。

しかし、有料老人ホームでは、退去を求められるケースもあり、終の住処にはなりにくいのが現状です。高齢者向け3施設については、どれがどのようなサービスを提供しているのかわかりづらく、利用者にとって親切とは言えないものでした。また、医療や介護事業者との連携が不足していることも指摘されていました。

この状況を改善すべく、また高齢者の単身世帯や夫婦のみの世帯が安心して暮らせるようにと、2011年10月に介護・医療サービスを組み合わせたサ高住が創設されたのです。サ高住の設置にあたっては、建設・改修に補助金が出され、税制の優遇措置なども受けられます。

また、サ高住は、有料老人ホームよりも住戸面積等の基準が緩く設定されています。一方で、手すりの設置や、段差のない床などバリアフリー化は義務化されていますし、安否確認と生活相談のサービスを提供する必要があります。この点は、高齢者向け賃貸住宅三施設との大きな違いでしょう。

今回の仕組み作りで問題は解決されるのか

サ高住は、有料老人ホームと並ぶ、新しい選択肢として設置されました。そもそもよくわからないものだった三施設を、わかりやすくするために設置されたのがサ高住でしたが、それでも入った後に、情報不足によるトラブルが起きていたのが現状です。

今回の仕組み作りで、情報不足による施設選びの失敗は減らすことができるかもしれません。また、今まで以上に運営する側としても、サービスの向上を目指すかもしれません。これは利用者にとってはありがたいことです。

しかし、サ高住が20万戸近くに増えているものの、サ高住がカバーしている人数は、高齢者全体の5%ほどにすぎません。今回の仕組みづくりにどのくらいのコストがかかるのかはわかりませんが、今回の改善の恩恵を受けられる高齢者は限られています。

また、情報開示にも、かなりの費用がかかります。こうした費用によって、サ高住の入居費用も高くなることが予想されます。今回のニュースが示すところは確かに大切な改革ですが、資産のある富裕層向けに限定されてしまうとするなら、少し残念です。

依然として、介護施設は足りていませんし、介護人材も不足しています。多くの高齢者が、相変わらず在宅で過ごさなければならないことを忘れてはなりません。どこに財源を使うかについては、しっかりと判断する必要があるのではないでしょうか。

※参考文献
・毎日新聞, 『サービス付き高齢者住宅 情報公開を介護施設並みに』, 2016年9月26日
・東京新聞, 『サービス付き高齢者住宅(No.359) 介護・医療と連携、安心して暮らせるか』, 2011年6月5日

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