閉じる

過疎化する地域が、介護職の確保に失敗する本当の理由

過疎化する地域が、介護職の確保に失敗する本当の理由

介護職に移住してきてもらいたい地域が増えている

ただでさえ若者が出ていってしまう地域では、いよいよ高齢化が極端な状態になりつつあります。こうした地域では、現在、介護職として働いている人たちも高齢化しており、介護職の人数不足が「もはや限界」という状況になっています。

こうなると悪いことに、なんとか介護職として頑張っている人のところに仕事が集中します。結果として、そうした残りわずかの貴重な介護職も、その地域を離れて行くこともあります。

こうした背景を受けて、介護職に移住してきてもらおうと、多くの地域(地方自治体)が本気になってきています。移住にともなう費用を出してくれたり、住居の手配や、地元住民との交流までアレンジしてくれるところもあります。

しかし、地域によって、こうした施策がうまく行くところと、そうでないところに分かれてきています。うまく行かない地域のニュースでは、介護職確保の失敗原因とされるのは「日本全国で介護職が足りていないから」というものが多いのですが・・・

根本的には「無医村」の問題と原因は同じ

実は、以下に示すようなことは、地域にいる真のリーダーは、よく知っていることです。なんとか、こうした根本原因をなくそうとして頑張っている真のリーダーも少なくありません。それでも「無医村」を生み出してしまうような、手強い相手がいます。

地域における医師の確保は、昔からニュースになってきました。あの手、この手で医師を呼んでも、医師が定着せず「無医村」となっているところも多くあります。介護職が足りないから、外から介護職を確保しようという動きも「よそから必要な人を連れてくる」という意味で、同じ話です。

医師は、そもそも「他者の役に立ちたい」と考えている人々です。実は「無医村」に行きたいという若手医師も少なくありません。では、どうして「無医村」の問題は解決しないのでしょう。

それは、実際に「無医村」に赴任した医師の話に耳を傾ければ明らかです。オブラートに包んで言えば「無医村」になるような地域には、よそ者を受け付けない閉鎖性と、地元有力者を中心とした固定的な社会階層があるからです(より詳しくは、検索してみてください)。

これは地域が、過疎地になっていく理由でもあります。その地域から若者が出ていくのは、よそ者との付き合いを制限される閉鎖性と、有力者の血縁でないと不利になる固定的な社会階層が嫌だからです。地元の若者ですら耐えられないのですから、よそ者にとっては厳しすぎる世界です。

交通の便が悪いから、過疎地になるのではありません。本当の原因は、そこに築かれてきた「小さな社会」の負の部分にあります。この問題を直視し、閉鎖性や固定的な階層を改め、よそ者や若者を大切にする環境を整備できている地域は、少しずつではあっても、盛り返してきています。

医師がいないことよりも、介護職がいないことのほうが大問題

医師がいなくても、ギリギリ、なんとかなります。病気になったら、病院のあるところに遠出すればよいからです。しかし、介護職がいないというのは、どうにもなりません。介護職は、要介護者の毎日の生活にとって、なくてはならない存在だからです。

これは、先に示したような問題を解決する、またとないチャンスでもあります。「小さな社会」の負の面を直視し、それを改善しないと、介護職の確保ができず、日々の生活が成り立たないという危機だからです。そして地域には、こうしたことを理解している真のリーダーも必ずいます。

地域を愛する人々は、こうした真のリーダーとの協力を密にして、新しい時代を築いていかないとなりません。過疎地から復活した地域の事例を勉強し、なんとか、この難しい戦いに勝ってもらいたいです。いうまでもありませんが、それぞれの地域には素晴らしいところもたくさんあります。

よそから介護職を呼び寄せ、定着させることに成功した地域は、そもそも介護職に限らず、多くの人を呼び寄せることができる地域です。逆に、本当の意味で「小さな社会」の変革に成功しないと、医師はもちろん、介護職もやってきません。

繰り返しますが、医師がいないことよりも、介護職がいないことのほうが、地域にとっては大問題です。介護職がいないと、要介護者は、地元を離れてどこか遠くの介護施設に入居するしかなくなります。すると、過疎化はすごい勢いで加速し、地域は消滅します。

最も有効な解決策は、女性に優しい地域社会を築くこと

若者がその地域を出て行くとき、順序があるように思います。まず、若い女性からいなくなり、それを追うようにして、若い男性がいなくなるという図式です。あくまでも仮説にすぎませんが、日本には男尊女卑がまだ残っており、それが地方にいけばいくほど強くなると感じます。

閉鎖性があり、固定的な社会階層が色濃く残る場所において、有力者の血縁ではない若い女性というのは、実質的に最下層に位置します。そんなところからは、若い女性が逃げ出して当然でしょう。そして若い女性がいなくなれば、若い男性もいなくなります。

注意してもらいたいのは、介護職の多くが女性であるという事実です(約8割が女性)。医師はこの逆で、多くが男性です(約8割が男性)。よそ者の女性が気持ち良く暮らせる地域でないと、うまくいきません。女性が暮らしやすい文化のない地域は、どのみち衰退します。

たとえば、過疎化から抜け出ることに成功している例として「手厚いシングルマザー支援」に動いている島根県・邑南町(おおなんちょう)があります。保育料や医療費を格安・無料としながら、町営住宅をあてがい、職もあっせんし、定住コーディネーターが様々な相談に乗っています。

日本には、シングルマザーが120万人以上います。その中には、介護職の人もいます。介護職を呼び寄せたい地域は、今一度、戦略レベルから考え直してみる必要があるのではないでしょうか。

※参考文献
・NHKニュースおはよう日本, 『注目集めるシングルマザー支援』, 2015年6月25日

KAIGOLABの最新情報をお届けします。

この記事についてのタグリスト

介護に強い保険に見直しませんか?