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自動車の功罪。経済を牽引し人命救助に貢献する反面、世界で毎年120万人以上が事故死している。

自動車の功罪

経済の牽引役としての自動車

人類社会に、自動車が与えた経済的なインパクトは、もはや正しく計算することが困難なほどです。自動車の登場以前と比べれば、人々の移動は距離も自由度も劇的に高まりました。人だけでなく、様々なモノの輸送も劇的に改善しました。

産業としてみた場合、自動車産業には、関連産業が多数あり、裾野が広いことで知られています。鉄鋼、ゴム、プラスチック、ガラス、皮、ロボット、半導体、ソフトウェアといった、自動車を作るために必要となる産業だけでも相当なものです。

さらに、広告、自動車販売、自動車ローンのための金融、道路整備、信号や遮断機、ガソリンスタンド、石油産業なども、自動車があればこそ成立・成長してきた産業も多数あります。自動車があればこその雇用も、多くあるわけです。

人の命を救うための自動車

救急車、パトカー、消防車などの存在によって助けられている命も多数あります。これは、こうした専用自動車がなければ助からなかった命を計算することができないので、本当の恩恵がどれほど大きなものであるかは、想像するしかありません。

災害や紛争地域でも、自動車による支援・救援が行われてきました。その効果は、誰の目にも明らかなため、あらためて正確な効果を測定する必要性も感じられません。そうした効果に関する研究もあると思われますが、効果が高いということは今更確認するまでもありません。

人の命を救うという文脈でも、自動車に代われるほどの効果を出せる移動・輸送手段はそうそうありません。ですから自動車は、今後もずっと、人道支援の場面においても、活躍しつづけるでしょう。

凶器としての自動車

まず、一般的な自動車の重さは、1〜2トン程度です。これだけの重さのあるものが、時速30〜60キロといった高速で動くのです。重いものが、速く動くということは、物理的には、それだけ大きなエネルギー(運動エネルギー)を持っているということです。

これだけエネルギーをもったものを、1人の人間が自由に動かせるということは、かなり危険です。くしゃみによって運転を誤り、死亡事故となるケースも多数あります。世界では、毎年120万人以上の人が、自動車事故によって死亡しています。また、2,000〜5,000万人もの人が自動車事故で負傷しています。

高齢者による自動車事故も問題視されてきています。特に、認知症(視界が極端に狭まる)を発症している人が自動車運転をしているという現実は、恐ろしいです。高速道路での逆走のケースでは、約7割が65歳以上であり、その約4割の人が認知症か、認知症が疑われる状態というデータもあります。

間接的には、自動車が犯罪に使われることも多くあります。誘拐・強盗や後の逃走の手段として、また、違法な物品の輸送にも、自動車が使われているのが現実です。悪意を持っている人間にも、自動車は、便利に使われてしまっているのです。

環境汚染装置としての自動車

また、自動車は大量の排気ガスの影響も重大です。間接的には、地球温暖化やオゾン層の破壊、酸性雨の原因となっています。直接的にも、肺がんや呼吸器系の病気の原因にもなります。

高速道路や幹線道路の近隣では、大気汚染のみならず。騒音や振動の問題も発生しつづけています。都市部では、駐車場のためのスペースが足りず、違法な路上駐車なども発生しています。

また、自動車を製造するための原材料が、天然資源を枯渇させつつあるだけでなく、周辺環境を劣悪なものとしている現実もあります。さらに、壊れて使われなくなった自動車の廃棄問題も重大です。

自動運転が軽量化を可能にし、より安全・安心な乗り物となっていく

認知症の人であっても、いかに心身の弱っている高齢者であっても、自由に世界を行き来するための手段を取り上げてしまうのは、本当はよくありません。実は、運転手から自動車を取り上げたら、うつ病になる危険性も指摘されています。

当然、事故死、事故による負傷は減らさないといけません。経済効果や人道支援の目的のためにも、速度は犠牲にできません。チャレンジできるのは、現状で1〜2トンという重量のほうです。事故が起こっても、自動車の重量が小さければ、被害も小さくなります。ただし、軽量化されても、運転する人の安全性が犠牲になってはならないのです。

自動車が、運転している人間の状態によらず、安全であり、かつ犯罪に利用されないためには、ハンドル、アクセル、ブレーキといった自動車の運転を人間から取り上げる必要があります。また、多少のプライバシーは犠牲にしても、怪しい動きをしている自動車は監視する必要もあります。

事故を起こすのは、自動車そのものではなく、多くの場合、人間です。人間が運転しなければ、交通事故は劇的に減ります。交通事故を想定しない場合は、運転手の安全のための車内設備を少なくでき、結果として軽量化にもつながり、これがまた死亡事故を減らすことにつながります。

自動車が軽量化されれば、製造に必要となる天然資源が減らせるだけでなく、燃費も極端に高まります。電気自動車技術がより実用化されてくれば、排気ガスもなくなり、騒音も小さくなり、環境的にもずっと安心なものにできます。

自動運転 → 事故を想定しない → 運転する人の安全に必要な車内設備が減る → 軽量化できる → 燃費も良くなる → 自動車のネガティブな面が劇的に減らせる、という図式が見えています。この全てが、自動運転からはじまるというところが重要です。

今、世界でホットになっている自動運転は、単に、運転を楽にするテクノロジーの開発ではないのです。十分に小型化したら、自動車は、車イスに代わるものとしての意味も高まるでしょう。自動運転は、人間社会を、次のステージに引き上げるような、インパクトのあるイノベーションなのです。

※参考文献
・産経新聞, 『交通事故死125万人 WHO、13年世界統計』, 2015年10月19日
・認知症ねっと, 『認知症患者による過去の自動車暴走事故まとめ』, 2015年11月2日
・あなたの健康百科, 『運転やめたらうつになる? 高齢者―4カ国16研究から』, 2016年2月5日

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